健康・美容の力が凝縮されている!すっぽんの真実

昔から元気や美容の源として親しまれてきた亀…6月はそんなすっぽんが繁殖期を迎えます。そこで、意外と知られていないすっぽんについてご紹介しましょう。

攻撃特化型の亀、すっぽんの歴史とは…

すっぽんは、カメ目スッポン科スッポン属に分類される爬虫類。一般的な亀との大きな違いは甲羅です。なんと角質化しておらず軽いため、動くスピードが段違い!そして殺傷力の高いアゴを持ち合わせているため、攻撃特化型の亀と言えるでしょう。

このすっぽんならではの特性、カタチが完成したのは、なんと1億2000万年前。白亜紀前期…つまり恐竜の時代です。日本の地層からも発見されており、中国や台湾、ロシア南東部、東南アジアに生息しています。

生息環境は、ご想像の通り水辺。クサガメやイシガメと比べて水かきが発達するなど、水中で長時間活動できるよう進化してきました。尖った鼻先や長く伸びる首はシュノーケルのような役割を持ち合わせており、陸地に上がることはあまりありません。寿命は平均30年とされており、長生きな個体は100年近くなるものもいるそうです。さすが長生きの代名詞『亀』なだけありますね!

すっぽんは一度に50〜100個ほどの卵を産みます。まんまるの卵はまさに滋養のカタマリ!すっぽんの栄養価がギュッと詰まっています。

すっぽんを食べるようになったのはいつ頃から?

すっぽんが料理に用いられるようになったのは、今から3000年以上も昔の中国、周の時代だと言われています。最初は上流階級の者だけが食べることのできる高級食材でした。それが約1000年後、時代が進むにつれて栄養価の高さにも注目が集まり、健康食の一つとしても活用されるようになったのです。特に重宝されたのが甲羅。土鼈甲(どべっこう)と呼ばれ、粉末にして滋養のために今でも幅広く愛飲されています。

日本におけるすっぽん食の歴史は縄文時代。当時の貝塚からもすっぽんを食べていた形跡が発見されました。ただし、料理として振る舞われるようになったのは飛鳥時代だとされています。日本最古の文献の一つ「続日本紀」にも、697年に滋賀県からすっぽんが天皇へ献上されたという記述が残っています。

日本においても1000年以上の歴史を誇るすっぽん食ですが、庶民に広まったのは江戸時代だと言われています。また、すっぽんの養殖が始まったのは明治に入ってから。成功させたのは服部倉治郎氏です。今では市場に出回るすっぽんのほとんどが養殖に頼っています。服部氏の研究が成功しなければ、現代のようにサプリメントなどに配合することは難しかったかもしれません。

世界三大美女の一人も食べていた!すっぽん料理

3000年も昔から高級食材として愛されてきたすっぽん。当時の宮中には「鼈(すっぽん)人」という、すっぽん料理専門の役職がありました。世界三大美女の一人である楊貴妃も好んで食べていたという記録が残っています。美を追求した王妃…それもそのはず。すっぽんにはアミノ酸の他、12種類のビタミン、9種類のミネラル、脂肪酸などの栄養成分が豊富に含まれており、生命の泉とも例えられるほど。きっと楊貴妃は、この栄養価を身をもって体感していたのでしょう。

一度噛みついたら雷が鳴るまで離さない…すっぽんは凶暴な生物なの?

すっぽんに噛まれたら、雷が鳴るまで離してくれない…そんな逸話を聞いたことがあるでしょう。確かにすっぽんの噛みつく力は強く、また攻撃性も高い亀ではありますが、逆に言えば慎重で臆病でもあると言うこと。もし噛まれても、そのまま水の中に戻してあげれば、そのまま離れて逃げていきます。

実はすっぽんは、アゴから歯が生えていません。その代わり、下アゴは硬質化したクチバシ状になっています。

月とすっぽん…なぜ比較されるようになった?

物事を比較する言葉の一つ「月とすっぽん」。これは江戸時代から言われ続けているそう。理由として、すっぽんは甲羅が丸いことから通称「丸(まる)」と呼ばれることがあり、同時に月も丸いことから、美しいモノとそうでないものを示す言葉となったようです。