漢方は宇宙だ!実は日本生まれの医学だった漢方

日本人に合わせて進化した医学

漢方というと多くの人は中国の医学というイメージをお持ちかもしれません。「漢」が中国、そして「方」が治療法を指している言葉です。これは、実のところ中国伝来の医学という意味。中国から日本に入ってきた医学をベースに、日本人の体質や風土に合わせて独自に発展・進化を遂げたものこそ漢方です。

ちなみに、漢方という言葉ができたのは江戸時代。西洋から伝わった医学である「蘭方」と区別するために用いられるようになりました。

一般的に考えられているような中国の漢方は「中国伝統医学」と呼ばれています。つまり「漢方」こそが、日本人による日本人のための医学だったのです。

不調の裏の裏の原因まで探る漢方

漢方の基盤は「人間は自然の一部であり、一つの小宇宙である」という考え方にあります。

人も自然も同じシステムで機能しており、全ては連動している…頭で考えるよりも体で感じた方が漢方への理解が深まりやすいかもしれません。

例えば、気候の変動を考えてみましょう。冬になると気温が下がり空気が乾燥します。するとウイルスが活発になり、人の身体は寒さによって免疫が低下。風邪をひきやすくなってしまいます。一般的に用いられている西洋医学の場合であれば体に入ってきた外敵にどう対抗するかを考えますが、漢方ではさらに広い意味での原因を追究。なぜ風邪をひいたのかを紐解き、体温を高めて免疫を向上させ、ウイルスを撃退できる体へと導いてあげる生薬を投与するのです。

一人ひとりに合わせた生薬を処方

とは言っても、風邪の原因は千差万別。冷えが苦手な人もいれば、乾燥によって粘膜が傷つきやすくなっている人もいるでしょう。そこで漢方は、一人ひとりに合わせて体の状態を判別することから診断が始まります。これを「証(しょう)」と呼びます。証の内容の多くは「陰陽(いんよう)」「虚実(きょじつ)」「気血水」という3つの項目に分けられています。

病の進行度合いを示す「陰陽」

まず「陰陽」とは、その人の体質や病の進行度合いを示す指標。冷えを感じたりだるいなど非活動的な状態を「陰証(いんしょう)」、熱を発したり脈が早くなるなど活動的な症状を「陽証(ようしょう)」といいます。

バランスのとれた状態がベストな「虚実」

次に「虚実」です。顔色が悪く痩せ型で体調を崩しやすいのを「虚症(きょしょう)」、エネルギッシュで肌にツヤがあると「実証(じっしょう)」と判断されます。こう聞くと実証の方が健康的だと思われがちですが、そうではありません。過度な実証は病までも加速させてしまう恐れがあります。

3つのエネルギー「気血水」

最後に「気血水」です。これらは読んで字の如く…というわけではなく、3種のエネルギーのようなものだと考えてください。漢方ではこれらが体を巡ることによって健康が維持されると考えられています。

なかなか聞きなれない言葉も多い漢方ですが、深く知ると「なるほど」と納得するものばかり。今の健康を守るために、西洋医学の薬だけではなく、古き良き日本ならではの漢方に頼ることも考えてみませんか?