人生の質にも影響する?見直そう心の健康

皆さんは「こころの健康づくり週間」という期間をご存じでしょうか?3月は仕事や受験で結果を出すために大きなプレッシャーがかかったり、年度が変わるため出会いや別れ、また気候の寒暖差も大きくなったりと、私たちをとりまく環境によって身体的にも、精神的にもストレスの負荷がかかりやすい時期となります。

3月15日〜21日はこころの健康づくり週間

そこで厚生労働省は2000年に3月15日〜21日までの期間を「こころの健康づくり習慣」と制定し、今の自分の状況を落ち着いて見つめ、健やかに自分らしく生きる「生活の質」を見直す期間としています。

心の健康とは?

イキイキと自分らしく生きるためには「こころの健康」がとても重要です。もちろん身体的にも健康でいたいというのは誰もが望むこと。ですが人間、歳をとれば必ず体は衰え、その中で持病を患うこともあるでしょう。

そうなったときに何十年も「なんで私が…」と、失ったものを悲観し嘆いていく人生と、気持ちに整理をつけて「こうなったけれども…」と、今あるものごとに感謝して前向きに生きていく人生では、時間の質が全く異なってきます。つまり、精神的に健康であることは、人生の質に直結してくるのです。

またストレスがなく心の健康を保てる人は、風邪などの感染症にかかりにくいこともわかっています。逆に、ストレスがかかる性格や行動などによっては心疾患の病気にかかりやすい傾向があることも知られています。

人生の質を高めイキイキと自分らしく生きていく「こころの健康」を保つために、厚生労働省は次のことが大切と取り上げています。

メンタルヘルス4つの指標

  1. 自分の感情に気づいて表現できること
  2. 状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること
  3. 他人や社会と建設的でよい関係を築けること
  4. 人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること

特に重要なのが1番目の「自分の感情に気づいて表現できること」です。仕事やプライベートで忙しい現代社会を生きている私たちは、ムリをしてストレスを抱えている自分に気づきにくくなっている時間も多くあります。そのため数分でもいいので、自分の現状を見つめる時間を作ることがオススメです。

性格で変わる?心疾患の罹患率

あなたはどんな性格でしょうか?競争心が強く攻撃的、挑戦的でせっかち?(タイプA)
それとも目立つことを嫌い、内向的でのんびりとした性格?(タイプB)

実は1950年代に、アメリカで性格と心疾患のなりやすさに関する調査が行われました。この調査では競争心や野心があり、せっかちな性格(タイプA)の人の方が、内向的でのんびりとした性格(タイプB)の人よりも心疾患を発症するリスクが2倍以上高いことが判明したのです。

それはタイプAは、自らストレスの多い生活を選び、ストレスに対する自覚が乏しく、体の疲れや痛みに気づきにくい傾向があるためです。そのため、血圧の上昇や脈拍の増加などストレスに対しての反応によって、循環器系に負担がかかり心臓病の発症に関係してくると考えられています。ですが、そのことで自分を見失ってしまっては本末転倒。イライラしていると感じた時は甘い物を食べるなどして、リラックスできる時間を作ってみてください。

マインドフルネス

「こころの健康」を保つためにオススメなのが、心を「今この瞬間」に向けた状態を作るマインドフルネスです。私たちは、今を生きているようで、実は過去の失敗や未来への不安といったネガティブなことを考え、「心ここにあらず」の状態が多くの時間を占めています。こうした状態から抜け出し、心を「今」に向けた状態を作っていきます。今回は初心者でも行いやすい、簡単にできるマインドフルネスを2つご紹介します。

瞑想

瞑想は、ざわついた心を静めるために、目を閉じて呼吸を整えて内面に意識を向け、自分を見つめ直すことです。今回は呼吸に意識を向ける瞑想をご紹介します。

  1. 椅子に腰かけ、背筋を伸ばして座ります。
  2. 目は軽く閉じるか、薄く開けて斜め前を見ましょう。
  3. 息を吸った時に、お腹や胸の膨らみを感じましょう。呼吸は調整せず、そのとき一番したいように呼吸するのがポイントです。
  4. 息を吐く時に、お腹や胸が縮むのを感じましょう。

心の中で「お腹や胸が膨らんでいるな。縮んでいるな。」と今この瞬間の感覚に意識を向けましょう。また雑念が浮かんだことに気づいたら、「雑念だ。戻ります。」と心の中で唱え、再び呼吸に意識を戻します。1日1分から始め、慣れたら時間を伸ばしていくのが良いでしょう。

ジャーナリング

ジャーナリングは、頭に思い浮かんだことをそのまま『書く』ことです。自分の気持ちを紙に書き出すことでストレスが軽減される他、集中力向上や、自分や物事を客観視することができ、そこから気づきや発見を得られます。

  1. 紙とペンを用意します。
  2. 書くテーマと、書き出す時間を決めます。
  3. あれこれ考えず頭に浮かんだことを全て紙に書いていきます。ポイントは何も思い浮かばなくなっても「何も浮かばない」と頭に浮かんだことをそのまま書きペンを止めないことです。
  4. 時間がきたら、書いたことを読んで、自分の気持ちを振り返ってみましょう。

テーマは例えば「自分が楽しかったこと、うれしかったこと」や「今悩んでいること」「今日の出来事やそれについて思ったこと」など何でもOKですので書き出してみましょう。