意外と知らない?あなたの大切な目の構造

人間の感覚情報の80%以上は目から入ってくると言われています。そんな膨大な情報を取り入れる器官だからこそ、目は脳の次に複雑な構造をしています。

物を見る唯一の方法

私たちはどうして物を見ることができるのでしょう。例えば、明るい場所では物を見ることができます。しかし、真っ暗闇の中では物は見えません。

つまり人間が物を見る唯一の方法は光を利用することです。太陽や電球のように自ら光を放つものは当然見ることができます。ですが、机や壁など自分で光を発することができない物体はなぜ見えるのでしょうか?それは電球や太陽などの光源が物体に反射して目に届くため見ることができるのです。

光を受け止める目のサイズ

私たちが普段、鏡で見ている目は全体の6分の1程度しかありません。残りは皮膚の内側に潜り込み、眼球のサイズはピンポン玉程度の大きさです。そしてこの小さな器官には、200万以上のパーツが組み込まれているのです。

目の構造 角膜

様々なパーツから成り立つ目。光はまず、目の最前部にある角膜という組織を通過します。実は、角膜は自分で形を確かめることもできます。目を閉じて瞼の上を軽く指で押さえてみてください。その状態で目を左右に動かしてみると、眼球が動いているのを感じませんか?それが角膜です。

また角膜には、酸素を運ぶ血管が無いため、空気から直接酸素を吸収するのです。言い換えれば角膜が自ら呼吸をしているということ。そんな角膜にはにはたくさんの繊細な神経が集中しているため、角膜で異物を感じると体で最も早い筋肉が機能します。それが瞬きです。

瞳孔・水晶体・網膜

光の速度で角膜を通過すると、次に光は瞳孔を通り抜けます。瞳孔は平面的な漆黒の円に思われがちですが、実はただの穴です。青やグレーやブラウンの目をした人でも例外なく瞳孔が黒く見えるのは瞳孔が穴であり、目の中には光がないため。そんな瞳孔は虹彩という青やブラウン色をした部分が収縮することで大きさを調整し、光を入れすぎないようにして、目の異常な明るさから守ってくれるのです。その後、光は水晶体で集められ、網膜にピンポイントで光が届きます。

遠くの物がぼやける近視は水晶体で光の調整がうまくいかず網膜よりも手前で焦点が結ばれることで起こります。近くの物がぼやける遠視の場合は焦点が網膜の後ろで結ばれてしまうのです。

光は脳で認識される

驚くことに網膜自体では私たちは物を認識することはできません。現状では光が網膜にぶつかっているだけの状態です。ではなぜ物を物だと認識することができるのでしょう。

それは網膜には色を区別する錐体細胞(すいたいさいぼう)と光を感知する桿体細胞(かんたいさいぼう)が存在するためです。この錐体細胞と桿体細胞は神経細胞につながっています。色として区別された光のデータはこの神経細胞を通り視神経に送られます。

視神経は脳へ電気信号を送り、その信号を脳が解読し情報を処理することで私たちは物を認識することができるのです。

なぜ目は2つなのに、物は1つに見えるのか?

人間には2つの目があるのに、物は1つしか見えないことを不思議に思ったことはありませんか?それは、左右の目で見た画像を脳内が自動的に合成処理しているからです。左右の目を片方ずつ閉じると、見える画像にズレがあることに気づくでしょう。その微妙なズレから、脳は捉えた物体までの距離を割り出します。だから、眼帯などで片目だけで物を見た時には、距離感が分かりづらくなり転倒などのリスクが増えるのです。

また肉食動物は目が顔の前で2つ並び、草食動物は目が顔の横についていることも面白い点。肉食動物は顔の前に目があることで獲物までの遠近感が分かり正確な距離を測ることができます。一方で目が顔の横についている草食動物は自分の敵の肉食動物がいないかどうか、広範囲を見ることができるのです。

恋をすると瞳孔が開く?

昔から「目は心の窓」、「目は口ほどに物を言う」などと言われてきました。このようなことわざがあるように、目は人の気持ちを表すと言われています。特に瞳孔は光だけではなく、その人の感情によっても大きさが変化します。興味や好意を持つ人やモノに対しては瞳孔が大きくなり、興味のないものに対しては瞳孔が小さくなるとされています。

好きな人を見つめる時に「キラキラ・うるうる」した瞳となり、表情まで明るく感じてしまうのは、まさに瞳孔が開いているからなのかもしれませんね。