体の中でどんな働きをしているの?ミネラルの力

人体にとって欠かせない5大栄養素の1つであるミネラル。mine(鉱山・鉱石)やmetal(金属)という単語が語源となっています。地球上には118種類の元素が存在しますが、ミネラルに該当するのはなんとその内の114種類。栄養素として摂取する必要があるものだけに絞ると、16種類となります。では実際にミネラルの働きをご説明しましょう。

意外と種類が多い…人体にとって大切なミネラル

まず人間の体は約96%が炭素・水素・酸素・窒素で構成されています。5大栄養素の内、炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミンが該当し、体の組織を作り上げ、機能を円滑にするために欠かすことができません。

では、残りの4%は…というと、それがミネラル(無機質)。当然、体内で生成することはできないため、食品やサプリメントからの摂取が必要となります。主な働きである1つ目が、骨や血液など体を構成する成分となること。次に2つ目が酸素の働きをサポートする作用です。3つ目が体液の浸透圧や酸性・アルカリ性のバランス調整。最後に4つ目が神経や筋肉機能を正常に保つ働きです。人体にわずかしか含まれなかったとしても、生命活動に直結する役割を担っていることがおわかりいただけたでしょうか。

また、ミネラルは大きく2種類に分けられます。人体に含まれるミネラルの内、約99%を占めるものが多量ミネラル。ナトリウムやカリウム、カルシウムなどが該当します。そして残りの1%を微量ミネラルと呼びます。鉄や亜鉛、セレンなどがあり、中にはたった1mgにも満たないミネラルもありますが、それでも不足すると重大な影響を体に及ぼしてしまいます。

ミネラルといえばミネラルウォーターを思い浮かべる人も多いかもしれません。基本的には、水のみを原料とした清涼飲料水のことを指すため、決してミネラルが高含有された水というわけではないのです。ちなみに、水道の蛇口付近にできる水垢は、水に含まれるミネラル成分の結晶です。

下にまとめたのは人体に含まれるミネラルの一覧。各成分の働きをご覧ください。

ナトリウム

体内の水分バランスを調整し、細胞外液の浸透圧を維持する働きがあります。

【多く含む食品】
しょうゆ・味噌・ハムなどの加工肉・梅干し

マグネシウム

たんぱく質の合成や体温・血圧に重要な成分。過剰摂取するとお腹を下すこともあります。

【多く含む食品】
あおさ・あおのり・干しエビ・豆類

リン

カルシウムに次いで多く含まれるミネラル。細胞膜に多く存在し、骨や歯の発達に重要です。

【多く含む食品】
魚介類・卵・チーズ

イオウ

髪の毛や皮膚、爪などのたんぱく質を構成するのに欠かせないミネラルです。

【多く含む食品】
牛肉・羊肉・牛乳・玉ねぎ

塩素

胃酸に多く含まれており、体液の浸透圧維持にも役立っています。

【多く含む食品】
食塩

カリウム

体液の浸透圧を一定に保つ働きがあります。また、ナトリウムの排泄を促します。

【多く含む食品】
ひじきなどの藻類・ドライフルーツ・芋類

カルシウム

体に最も多く存在するミネラル。骨や歯を構成したり、出血予防にも役立ちます。

【多く含む食品】
魚介類・乳製品・アーモンド

クロム

糖質や脂質の代謝を助け、インスリンの働きを活性化してくれます。

【多く含む食品】
あおさ・あおのり・バジル・パセリ

マンガン

酸素の働きを活性化し、骨の発達を促します。また、皮膚の代謝にも欠かせません。

【多く含む食品】
シナモン・藻類・緑茶・紅茶

血液中に多く存在し、酸素を運ぶ役割を担っています。また、筋肉代謝にも重要です。

【多く含む食品】
レバー・あゆ・いわし・あおのり・ひじき

コバルト

赤血球中に含まれるヘモグロビンの生成に重要な役割を持っています。

【多く含む食品】
レバー・牡蠣

赤血球の形成を促し、動脈の弾力を保つ働きがあります。

【多く含む食品】
イカ・タコ・レバー・豆類

亜鉛

主にたんぱく質に関与し、味覚や免疫、生殖機能を維持するミネラルです。

【多く含む食品】
牡蠣・鰹節・赤身肉

セレン

酵素などのたんぱく質の一部を構成するミネラルです。

【多く含む食品】
あん肝・たらこ

モリブデン

肝臓や腎臓に存在し、有害物質の分解に働きかけます。

【多く含む食品】
大豆

ヨウ素

成長ホルモンの合成や脂質代謝を促進するミネラルです。

【多く含む食品】
藻類・魚介類

夏こそしっかり補給しよう!汗で流れ出すミネラル

汗の中の1%は貴重なミネラル。特にナトリウムやカリウムなどが多く含まれています。そのため多量の汗をかいた後には、これらの成分が不足しがちに。血圧の低下や夏バテを引き起こしやすくなるので、意識して摂取しましょう。