温泉で夏の疲れを吹き飛ばそう!

お盆が過ぎ、そろそろひと夏の疲れがドッと溜まって夏バテの症状が一番出やすい時期。夏は蒸し暑く、それだけでも交感神経が刺激され体への負担となります。さらに熱帯夜による睡眠不足、気温の高さや湿度による体力低下などに加え、室内と屋外の温度差による自律神経のバランスの乱れでも体力は奪われます。

また夏に冷たいものばかり口にすることによって、この時期は特に内臓が冷え切っている状態でもあります。そんな体のリズムを正常に戻すために効果的なのが、温泉です。お盆シーズンを終え、観光地などの喧騒もおさまったこの時期、夏バテを改善し、リフレッシュのためにぜひ温泉という選択肢を選んでみるのはいかがでしょう?

サッパリ夢心地!夏こそ「ぬる湯」

温泉というと、寒い冬に入るというイメージを持っている方も多いでしょう。ですが熱いお湯だけが温泉ではありません。温泉大国の日本には40℃未満のぬるいお湯からなる、「ぬる湯」の温泉がたくさんあるのです。特にまだ暑さが残るこの季節に入るなら「ぬる湯」の温泉が断然おススメ。

なぜなら、お湯がぬるいからこそじっくり入浴することができ、各種イオンなどの温泉成分が皮膚や呼吸を通じてより吸収されやすくなるためです。それ以外にもぬるい温度だからこそ心臓への負担がかかりにくく長時間の入浴が可能となります。そのため内臓の冷えを改善し、食欲の増進にも繋がるほか、副交感神経が優位になって精神的にもくつろぐことができ猛暑の疲れを癒すのにピッタリ。

また温泉の特質を楽しむことも可能です。例えば炭酸泉は40℃ほどで炭酸ガスが抜けてしまいますが、「ぬる湯」なら細かい泡のプチプチ感もしっかりと味わう事ができるのです。

様々な種類の温泉たち

主な泉質と適応症

温泉で体調を整えたいと考えた時にぜひ知っておきたいのがその泉質。なぜなら温泉にはそれぞれ多く含まれる成分によって泉質固有の「適応症」があるため。ここではそれぞれの特徴的な適応症をみていきましょう。温泉に行った際にはその泉質の適応症も意識することでより良い影響が期待できるでしょう。

1.単純温泉

日本で一番多い泉質です。体への負担が少なく低刺激のため、高齢者や子ども、肌がデリケートな人に向いています。またアルカリ性単純温泉は、入浴すると肌が「すべすべ」する感触があるのが特徴です。

泉質別適応症

自律神経不安定症、不眠症、うつ状態など

2.塩化物泉

単純温泉に次いで多い泉質。塩分を含む温泉で、海岸や火山の近くに湧くことが多いのが特徴です。水分が蒸発したあと皮膚に塩分が付着するため保温・保湿効果・循環効果が高く、古来から「温まりの湯」と称されています。

泉質別適応症

切り傷、冷え性、抹梢循環障害、うつ状態、皮膚乾燥症など

3.炭酸水素塩泉

入浴後の清涼感が特徴。皮膚表面の角質を軟化する作用があり、特にアルカリ性のものは湯上りに肌がツルツルになるとされています。俗にいう「美人の湯」として知られています。

泉質別適応症

切り傷、抹梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症など

4.硫酸塩泉

酸素を血液に多く送る作用があり、動脈硬化予防や、傷を早く治す効果があるといわれています。カルシウムを含むものは、保温効果が高く腰痛、肩こりにも効能があるとされています。

泉質別適応症

切り傷、冷え症、抹梢循環障害、うつ状態、皮膚乾燥症など

5.二酸化炭素泉

炭酸ガス成分が溶けているため、肌につく気泡が特徴です。なかでも天然のものはとても珍しく、低温でもよく温まると人気!血管拡張効果があり血液の循環が良くなるため、皮膚や筋肉の酸素が増加します。

泉質別適応症

切り傷、抹梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症など

6.含鉄泉

その名の通り鉄を含む刺激の強い泉質です。湧出直後は透明ですが、鉄分が酸化することで茶褐色になります。皮膚を通じて鉄分が体内に吸収され、貧血の改善に寄与すると考えられています。

泉質別適応症

疲労回復、健康増進など(一般適応症に準ずる)

7.酸性泉

殺菌力が高く、慢性的な皮膚病やアトピーなどの治療に利用されます。また酸性成分が肌の角質を溶かすことから、美肌効果が高いことでも知られています。但し刺激が強いため、皮膚の弱い人は注意。

泉質別適応症

アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、糖尿病、表皮化膿症など

8.含よう素泉

2014年に新たに誕生した泉質。うがい薬や傷薬にも含まれているよう素を含む温泉のため、その作用が期待できます。甲状腺ホルモンが活発になり代謝が促進されると言われています。

泉質別適応症

疲労回復、健康増進(一般的適応症に準ずる)

9.硫黄泉

温泉らしい硫黄臭が特徴。含まれている硫化水素ガスは抹梢毛細血管を拡張させるため、動脈硬化症にも良いとされます。また殺菌力が強いため表皮の細菌やアトピーの原因物質を取り除きますが、刺激は強めです。

泉質別適応症

アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症など

10.放射能泉

微量の放射能を含み、ラジウム泉、ラドン温泉とも呼ばれます。皮膚や呼吸器から吸収することができ、微量な放射能で免疫力がアップ。高尿酸血症(痛風)、関節リウマチにも効果が期待されています。 

泉質別適応症

高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など

気を付けよう温泉利用のイロハ

体に良い刺激をもたらしてくれる温泉。ですが間違った入り方をしてしまうと思わぬ事故につながりかねません。自分の体の状態に意識を向けて入浴時の注意点を守りながら温泉を楽しみましょう。

㋑飲酒後の入浴は控えましょう

飲酒をした状態では、ふらついて転んだり、入浴中に寝て溺れてしまう可能性があります。また血圧が急に変わることにより脳貧血の危険もあるため控えましょう。

㋺前後の水分補給を忘れずに

コップ1~2杯の水分を補給しましょう。入浴中の脱水状態だけでなく、入浴時の発汗により血液粘度が高まり、血液がドロドロの状態になることを防ぎます。

㋩運動後は入浴を控えましょう

筋肉の疲れがとれにくく、心臓への負担も倍増します。スポーツ後は最低でも30分の休息を取ってから入浴するようにしましょう。

全身で自然を浴びよう

心も癒す「自然浴」

休日に自然豊かな場所を訪れると、「癒し」を感じたことがあるという人も多いのではないでしょうか。自然の多い環境は、花や木々の香りを感じたり、鳥のさえずりにゆっくり耳を傾ける事ができたり、そよ風を肌で感じることができたりと、都会では味わえないような体験がたくさん詰まっています。また自然の中に身を置く事で免疫細胞が活性化されたり、ストレスホルモンが減少したりといった効果が期待できます。

私たちの身近には、温泉以外にも日光浴、海水浴、森林浴など心身共にリフレッシュできる場所がたくさんあります。慌ただしい日常の中で、煮詰まってしまった時には公園に行って木々を眺めたり山を歩き森林浴をしたり、川遊び、キャンプや農園体験等、自然の中でリラックスし心地よい時間を過ごしてリフレッシュしてみるのもおススメです。