腸活でアレルギー緩和

花粉症などのアレルギー、日頃から薬を飲んで症状を緩和させているという方も多いことでしょう。しかし、くしゃみや鼻水は止まったけれど、今度は副作用で眠くなってしまったり、鼻や口が渇くといった不快な症状に悩まされることも。アレルギーは免疫の過剰反応ということは別の記事に記載しましたが、それをできる限り正常に近づけるためにはいったいどうすればよいのでしょう。その答えは腸にありました。

腸の働きは吸収・排泄だけではない

一般的に言われている腸の働き。それは胃で消化した食物を小腸で吸収し、大腸を通じて残ったカスを排泄することではないでしょうか。ただそれは腸の働きの一部にしか過ぎません。吸収・排泄という生命維持に欠かせない働きの他、免疫を作り出すという「生命を守る」ための役割を担っています。そこで特に重要視されるのが小腸です。
腸と言うと内壁がツルッとしているようなイメージを持つ人もいるかも知れませんが、それは大腸。小腸の内壁には絨毛(じゅうもう)と呼ばれる細かい突起が無数に付いています。この理由は、限られた人体の体積の中で、表面積を大きくするためだと考えられています。貴重な食材から摂取できる栄養を逃さずに絡め取るための進化の結果だと言えるでしょう。また小腸は体内で最も長い臓器で、全長約6メートル、表面積はテニスコートの4分の1に達するとされています。

飛行機の搭乗検査?小腸の防御機能

この小腸の内壁である絨毛の突起部分は、栄養吸収だけでなく外敵を撃退する機能が備わっています。まず、栄養と一緒にウイルスや細菌なども同時に入り込んでしまうため、これらを吸収しないように必要・不要なものを選別しなくてはいけません。飛行機の搭乗検査をイメージしてください。機内に持ち込めないものや悪意がある人は、この検査で判断され、警備員や警察に引き渡されます。まさにこれと同じことが小腸内で行われています。M細胞と呼ばれる検査員が小腸内に入り込んだ物質を何者なのか判断。悪者であれば強力な抵抗力を持つ免疫細胞組織へ送られ、撃退されます。そしてこの免疫機能は体全体の60%に相当すると言われています。

乳酸菌を活発にし、アレルギーを緩和

アレルギーと免疫、免疫と小腸。小腸の免疫力が弱まれば、体全体の免疫細胞が混乱し、アレルギーも発症しやすくなってしまいます。だからこそ小腸の健康維持を心がけなくてはなりません。そのポイントはやはり腸内環境の改善が第一ではないでしょうか。
小腸内は大腸とは違い、比較的酸素が多く存在しています。そのため善玉菌として有名な乳酸菌が住み着いており、酸素が嫌いな菌であるビフィズス菌は少ない傾向にあります。
乳酸菌は腸内の酸・アルカリバランスを調整し、ミネラルやビタミンの吸収をサポートしてくれる大切な味方。腸内の悪玉菌が優勢になると、小腸が持つ吸収の働きを阻害されることになり、免疫機能にまで手が及びません。また小腸内の過剰な免疫反応も抑えてくれるため、アレルギー症状そのものを和らげてくれることも報告されています。
そこで小腸の乳酸菌をサポートし、アレルギーを緩和させるためのポイントをご紹介します。重要なのはやはり食事。食物繊維は腸内をキレイにし、乳酸菌が働きやすい環境へと整えてくれます。料理の際は、砂糖ではなくオリゴ糖を使うのがオススメ。乳酸菌の餌となり、繁殖を促します。また、乳酸菌を使ったヨーグルトやチーズ、味噌やキムチなども積極的に食べるようにしましょう。

運動で腸内環境を改善

運動不足に陥ると、腸への刺激が少なくなり働きが低下してしまいます。そのため、免疫機能も衰えやすくなり、アレルギー症状が悪化することも。適度な運動を心がけて腸を活性化し、正しい免疫機能を維持するようにしましょう。