日本人は世界一の傘好き!?傘は人類の大発明

季節は梅雨。雨の日が多くなり、傘の出番も増えてくる頃ですね。毎朝傘を持つか持たないか、悩む方も多いのではないでしょうか。そして梅雨が過ぎれば日差しが強くなり、次は日傘が活躍する時季に。今回はそんな便利な「傘」について特集します。

ある調査によると、日本人の傘の平均所持数は3.3本と世界一多く、「世界で一番傘が好きな国民」と言われています。外国では、雨が降っていても傘をささない人が多い国もあるようです。

4000年前から進化してきた傘

傘の起源は、遥か4000年も前に遡ります。傘はもともと、日除けを目的として用いられていました。古代ギリシャ時代の貴婦人たちが日傘を従者に持たせて歩いている絵が残されており、当時の傘は暑い日差しを遮る目的とともに、権力を象徴する道具として扱われていたようです。

開閉式の画期的な傘が誕生したのは13世紀のイタリア。その後、スペイン、ポルトガル、フランスなどヨーロッパに広がっていき、多くの貴婦人に愛用されました。しかし、雨が降っても傘はささずに濡れていたそうです。

日本に傘が伝わったのは?

日本に傘が伝わったのは平安時代。お茶や漢字などと同じく中国から伝来したと言われています。当時の日本でも雨傘ではなく、魔除けや日除けとして使用されていました。

安土桃山時代になると傘の開閉ができるようになり、和傘が一般的に普及するのは、そこからさらに時が流れて江戸時代中期頃となります。その後、日本独自の構造的進化も見られ、降水に対して使うことも多くなっていきました。

おもむきある和傘、機能性重視の洋傘

こうして日本で発展してきた「和傘」と西洋で広く普及した「洋傘」。どちらも同じ用途として使用する傘ですが、デザイン性・機能性ともに大きく違いがあります。

和傘は和紙、竹、木などの自然素材で作られています。和紙の生地は脆いイメージがつきがちですが、雨により糊が固まって丈夫になっていくことで、使えば使うほどもちの良い傘になっていくという特徴があります。

一方、洋傘は主にビニールやポリエステル、綿など機能性を重視した素材で作られています。和傘に比べて軽く耐久性に優れているのが特徴です。また、低コストで量産できる点から、コンビニでも手軽に購入できます。

涼しくおでかけ!日傘で熱中症対策

年々暑さが増している近年、熱中症対策が課題となっていますが、日傘が非常に効果的だということをご存知でしょうか?

環境省では夏の熱ストレスを低減できる暑さ対策として、日傘の活用を推進しています。「日陰を持ち歩く」とも言われ、日傘の使用で強い日差しから体を守ると汗の量が約17%減るということが報告されています。さらに、頭部の体感温度が4〜9℃、全身の体感温度が1〜2℃低下するとされています。

日傘男子が急増中!令和は男性も日傘の時代

「日傘は女性がさすもの」というイメージが強いかもしれませんが、最近では男性の間でも日傘が注目されています。デザインも男性向けの商品が増え、身を守るための「装備品」のような感覚で利用する方が多いのだとか。暑さ対策としてはもちろん、紫外線は目や肌へのダメージも大きいので日差しが特に厳しい夏場は日傘の使用をおすすめします。

お気に入りの傘を見つけよう!

最後に傘選びのポイントをご紹介します。

まず、日傘と雨傘の大きな違いは次のような点です。

  • 日傘(純パラソル)
    遮光・遮熱・UVカットなどの機能があるもの。日本では「純パラソル」と区別される。撥水・防水加工を施さないため、多彩な生地やデザインが施せる。
  • 雨傘
    撥水・防水加工が施された、雨雪専用に作られているもの。大雨でも安心して使うことができる。日傘にある機能は施されていないものが多い。

日傘選びのポイントは「遮光率」と「コーティング加工」です。「1級遮光」「完全遮光」「遮光率100%」といった記載のあるものを選ぶのがおすすめです。また、生地の両面にUVカットのコーティングが施されているものを選びましょう。こうしたコーティング加工がないものを購入する場合は、黒色の日傘を選ぶと良いです。

次に雨傘選びのポイントは「耐風性」と「撥水性」です。骨の素材は強くて軽量なグラスファイバーを使用している傘を選んでみましょう。また、傘は骨の数が多いほど丈夫な造りになっています。骨の本数にも注目してみてください。撥水性は、5級の最高撥水機能を備えたものがおすすめです。

おでかけのお供に兼用傘がおすすめ

天気が変わる日や旅先に持っていくのにおすすめなのが、1本で2つの役割を果たす「兼用傘」です。選ぶ際に注意していただきたいのが、「晴雨兼用」「雨晴兼用」。晴雨兼用傘は雨でも使える「日傘」、雨晴兼用傘は晴れでも使える「雨傘」になります。どちらも主としての役割があり、直射日光や雨天時の長時間の使用には向いていないものもあるので、用途に合わせて選んでみてください。

お気に入りの傘を身に着けて、憂鬱な梅雨や暑い夏を楽しく過ごしましょう。

空一面をカラフルに彩る!ポルトガルの傘祭り

ポルトガル中部にある町、アゲダでは毎年夏に「アンブレラ・スカイ・プロジェクト」というアートフェスティバルが開催されます。もともと厳しい暑さをしのぐために町の人々が考え出したアイデアがこのような催しになりました。ストリートの上空5mほどの高さに色とりどりの傘が浮かび、降り注ぐ日差しが傘を照らす様子はまるで万華鏡のように美しいそうです。