6月はしらすの最盛期

しらすは鰯の稚魚のことで、南の海から黒潮に乗ってやってきます。体が透明でときには白く見えることから「白子」=しらすと呼ばれます。しらすの旬は産地によって異なり、しらすの漁獲量・生産量の全国1位・2位を競う静岡県では、6月に旬を迎えます。静岡沿岸では富士山の雪解け水が注ぎこみ、いつも栄養豊かな環境ですが、駿河湾や遠州灘で餌となるプランクトンが多く発生するこの時期が、しらすにとっても良い季節です。

体は小さく、網は大掛かり

ほんの2センチほどの体長のしらすを、広い海の中でどのように獲るのでしょうか。船曳き網漁という漁法では、長さ150メートルほどの網を、2艘の船で息を合わせて曳きます。網は船に近い部分が2つに分かれており大きな魚は逃がす構造で、先端の約50メートルだけが袋状になっています。この袋状の網の目が細かいので、小さなしらすを捕まえることができるのです。

しらすの食べ方いろいろ

  • 生しらす
    海から獲れたままのしらすで、透きとおった美しさを目でも楽しめます。漁場では獲ったら瞬時に大量の氷で締めてすぐ帰港し水揚げしてと、鮮度を保つ工夫をしているのですが、それもスピード勝負。生で食べられるのは水揚げされたその日だけなのです。ぜひ漁港近くの街で獲れたてを味わってください。生姜と醬油で味付けするのが定番で長く愛されている組み合わせです。
  • 釜揚げしらす
    しらすを釜でさっと塩ゆでし、水分が8割程度以上残っているものが釜揚げしらすです。卵かけご飯に合わせると程よい塩気がきいていて食感も柔らか、毎朝でも食べたくなります。ごはんのおともだけでなくトマト味のパスタに添えるのも、「シーフード」ですから相性ぴったりです。
  • ちりめんじゃこ
    塩茹でしたしらすを、天日に干してしっかり乾燥させたものがちりめんじゃこです。滋味と栄養がギュッと凝縮されていて、カルシウムも手軽に摂れます。ちりめんじゃこを少し多めのごま油で炒めて、食べやすく切った水菜に油ごとジュワッとかければ、香ばしさが食欲をそそるサラダのできあがり。

静岡県のある場所では、普通のスーパーマーケットに生しらすがたくさん並んでいて、海の幸が生活のすぐそばにありました。皆さんが毎日行くような場所に、地域柄が現れるものですね。