人間が得る情報の中で、視覚の次に多いのが聴覚だとされています。それほど重要な器官である耳について、どれだけご存知でしょうか。いつまでも大切にしたい「聞こえ」の仕組みを特集します。
耳は重要なコミュニケーション器官
「百聞は一見に如かず」ということわざの通り、人間は情報収集の約80%を視覚に頼っています。その次に聴覚が7~10%。しかし、ステイホームが叫ばれる昨今、人と人のコミュニケーションは「会う」よりも「話す」が中心となってきました。対面すれば、相手の表情や身振り手振りを見ることで、言葉の真意を汲み取ることができますが、電話だけだとそうもいきません。言葉一つひとつに乗せられた感情を読み解くには、耳の健康が非常に大切なのです。もちろん、だいにち堂コールセンタースタッフも、お客様のお声を聞くことでお悩みの深さや喜びの度合いなどを、対面販売以上に感じられるよう試行錯誤しております。
加齢に伴い耳の不調が増える
ただ、どれほど耳の健康を考えていても、年齢とともに聴覚は衰えてしまいます。下にあるのは、厚生労働省が実施した平成28年国民健康基礎調査の「耳の不調を訴える人」の数です。加齢によってまず気になり始めるのが耳鳴り。キーンジージーなど、金属音やセミの声などに例えられることが多い症状で、60代以降から急激に悩む人が増えているのがわかります。しかし、70代以降になると「聞こえにくい不調」つまり難聴が耳鳴りを逆転。特徴としては、高い音…例えば子供や女性の声から聞き取りにくくなるとされています。また、耳は聴覚だけではなく、平衡感覚も司っています。そのため、聞こえになんらかの不調が現れると同時に、めまいも併発しやすいため注意が必要。転倒して頭を打つなどの事故も引き起こされるため、絶対に放置せずできるだけ早く対処するよう心掛けてください。

よく起こりやすい耳のトラブル
耳が痛かったり、耳垂れが出たり、聞こえにくさを感じる反面、不快音も鳴っている。そんなよく起こりやすい耳のトラブルをご紹介。おかしいな?と感じたら、すぐに耳鼻科を受診するようにしてください。
- 外耳炎(がいじえん)
外耳道に炎症を起こす病気で、痛みやかゆみ、耳垂れなどの症状が出ます。耳に水が入りっぱなしだったり、耳かきのしすぎが大きな原因です。 - 中耳炎(ちゅうじえん)
子供がよくかかる中耳炎。風邪をひいた時、鼻や喉にいた病原菌が内耳へと侵入し、炎症を起こしている状態です。強い痛みや発熱が特徴です。 - 内耳炎(ないじえん)
中耳炎の炎症が内耳まで進行した状態です。痛みや発熱だけではなく、音を感知する機能や平衡感覚にも支障をきたすため、早急に対処しなくてはいけません。 - メニエール病
めまいと同時に片側の耳に難聴や耳鳴りを発症させます。原因はまだ明らかではありませんが、ストレスや睡眠不足の蓄積が関係していると考えられています。 - 外耳道真菌症(がいじどうしんきんしょう)
何らかの原因により、外耳道にカビが繁殖してしまう病気。痛みや耳閉感、難聴を引き起こします。治療には、耳用の軟膏や点耳薬が用いられます。 - 外傷性鼓膜穿孔(がいしょうせいこまくせんこう)
耳掃除の時に、耳かきなどで鼓膜に穴をあけてしまったり、ダイビングや外的衝撃などで鼓膜がダメージを負った状態。耳から出血する場合もあります。 - 老人性難聴(ろうじんせいなんちょう)
加齢とともに会話が聞き取りにくくなったり、テレビの音量を大きくしないと聞こえないという症状です。気になる方は、まずは聴力診断をしましょう。 - 耳鳴り
過労やストレスなど心因的な原因によって発症することが多いとされています。完全な消失は難しく、うまく付き合っていくことが大切だとされています。
週に何回もしていませんか?正しい耳掃除の方法

皆さまは月に何回くらい耳かきをしていますか?気持ちよくてクセになりますよね。この理由は、耳の穴の中には快感を生じさせる迷走神経が走っているからです。そのため何度も何度もしたくなりますが、注意しましょう。耳の中は、鼓膜の表面から耳の入り口に向かって常に細胞が動いているため、汚れは自動的に排出されます。耳掃除は耳を傷つける恐れもあるので、月1回程度に抑えましょう。