食品表示に隠された甘いワナ

近年の健康志向の高まりからスーパーやコンビニエンスストアでも、「カロリーゼロ」を謳う商品をよく目にするようになりました。そして同じくよく目にする「カロリーオフ」という言葉。この言葉は「カロリーゼロ」とは違う意味合いを持っています。これらは栄養強調表示と行って食品表示法で表示できる場合の条件が明確に決まっているのです。今回は日頃の食生活に少しでも役立つよう、「カロリーゼロ」と「カロリーオフ」が示す意味、そしてその違いについてみていきましょう。

カロリーって何だろう?

まず、カロリーとはエネルギーの単位を指します。1リットルの水の温度を1気圧の元で1度上げるために必要なエネルギー(熱量)を1キロカロリーと定義します。
人を含め生き物は生命維持や生命活動にエネルギーを必要としますが、カロリーはこのエネルギー量の単位として使われます。食べ物から摂るエネルギーと、心臓や肺を動かすなど生命維持に使うエネルギー。それらの量をカロリーという単位を使って表します。また、エネルギー量を表す用法から転じて、「カロリー」は食品の持つ栄養価としての生理的熱量(エネルギー)そのものを指す言葉ともなっています。

カロリーゼロとカロリーオフの違い

実は「カロリーゼロ」と「カロリーオフ」を謳う商品では、カロリーが異なります。カロリーゼロというのは、食品・飲料ともに100g当たり5キロカロリー未満の場合に表記することができます。また「ノンカロリー」と表示されたものもカロリーゼロと同じ意味を持ちます。
一方で、カロリーオフは食品の場合で100gあたり40キロカロリー以下、飲料の場合で100ミリリットル当たり20キロカロリー以下の時に表示することができます。また、カロリーオフというのは他の類似商品よりもカロリーが低いことを強調するもので、この他に「低カロリー」と表記される場合もあります。このように「カロリーゼロ」の方が「カロリーオフ」よりもカロリーが少ないことを意味しているのです。

カロリーゼロもカロリーオフも決してカロリーが無いというわけではないことが分かります。ダイエット目的として摂取する場合「カロリーゼロ」だからと油断して食べ過ぎると、意外とカロリーを摂取してしまったという事になってしまうので注意が必要です。

カロリーゼロはなぜ甘い?

カロリーゼロの食品を食べた時に「甘い」と甘味を感じることに驚いた人も多いのではないでしょうか?実はその甘味は、人口甘味料を使用しているために感じる事ができるのです。

人口甘味料とは、化学合成によって作られた甘味料(添加物)で、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースなど様々な種類があります。これらの甘味料は砂糖の数百倍もの甘さを持つため、砂糖を使うことなく食品を甘くすることが可能になりました。さらに人口甘味料には分解可能な炭水化物が含まれていないため、砂糖のように血糖血を上昇させることなく、甘味を保ちながらカロリー自体を抑えるというメリットがあります。

しかしダイエット効果が期待さる一方で、懸念点もいくつか上げられます。それは味覚が鈍くなる、食欲が増す、長期的にとることで腸内環境が悪化するといった報告が上がるようになった事です。ですが日本で使用されている人口甘味料は、国によって安全性が認められ、使用基準や使用料が定められているので、普段の生活で極端に避ける必要はありません。しかし、「カロリーゼロやカロリーオフならいくら食べても大丈夫」と過信をせずに、商品を購入する際には「ゼロ」や「オフ」という言葉に惑わされることなくしっかりと成分表示を見ることが大切なのかもしれません。

糖質ゼロと糖類ゼロの違いは?

カロリーと同じように頻繁に目にするのが「糖質ゼロ」と「糖類ゼロ」ではないでしょうか。これらの違いは、糖質は炭水化物に含まれる5大栄養素の一つである事。そして糖類はその糖質の一部にあたある事です。砂糖やブドウ糖は糖類に分類されますが、でんぷんやグリコーゲンといった多糖類などは糖質でありながら糖類に含まれないため、糖類ゼロという表示があってもでんぷんなどの糖分には含まれている場合があります。そして糖質も糖類もカロリーとお同じように法律で基準が決められており、糖質・糖類ともに100g当たり0.5g未満の場合に限り糖質ゼロや糖類ゼロと表記することができるのです。