寒くなると、なぜ痛い?筋肉の『こわばり』に要注意

寒くなると膝痛や腰痛、肩コリを強く感じるということはありませんか。こうした痛みはどうして起こるのでしょうか。本格的な寒さを迎える前に、痛くなる要因を知って対策をしましょう。

慢性的な痛みに長年悩んでいませんか?

気温が下がると血管の収縮などが起こるために、血行が悪くなり、筋肉がこわばってしまいます。本来なら体の隅々に届くはずの酸素や栄養が循環できません。すると血管を広げる働きを持つ「ブラジキニン」という物質が産生されます。

ところが、ブラジキニンは強い発痛作用も持っているために関節や筋肉に痛みを感じてしまうのです。また寒さが厳しいと、ついつい体を丸めてしまい姿勢が悪くなったり厚着になったりするために、体の活動性も低下して全身の血流が悪化。重い衣服はそれだけで肩コリの原因にもなります。寒い季節は、コリや痛みを助長する様々な要因に囲まれていると言えるのです。

痛みの悪循環サイクル

一度痛みが出るとそれをきっかけに悪循環を起こす危険があります。人間の体は痛みを感じると知覚神経が興奮し、交感神経が緊張。そして血管が収縮し、筋肉も緊張することで老廃物が蓄積して酸素不足に。その結果、さらに発痛物質が産生されるという悪循環になってしまいます。

通常は、痛みが生じても、交感神経の反応はすぐにおさまり、血行が改善されて痛みが鎮まります。しかし痛みが長引くような場合には、悪循環が起きているかもしれません。

関節にかかる負担

骨と骨の間には軟骨があり、これがクッションの役割を果たしているため動かしても痛みを感じません。ところが寒さでしなやかさが足りなくなった体で動くと、軟骨に負担をかけてしまうことに。また、日頃から仕事やスポーツで過度に体を動かしている方や加齢による衰えで軟骨がすり減っている場合には、寒さが追い打ちとなり痛みを引き起こす可能性があります。

加えて、肥満気味の人は体重にも注意が必要です。例えば、体重が1キロ増えただけで腰や膝にかかる負担は3倍※と言われています。関節を守るためには体重管理も重要なポイントと言えるでしょう。

※膝関節クリニック.「歩くと痛いは膝からのSOS!原因と40代で始めるぶり返さない方法」https://www.knee-joint.net/column/no23/,(参照2022-08-30)

痛みの役割とは?

そもそも私たちが「痛み」を感じるのは、体に何らかの異常や異変が生じていることに気がつくためです。もし痛いという感覚がなかったら、危険を察知したり、回避することが難しくなってしまいます。痛みは本来、私たちの体や命を守る、生命活動に欠かせない大切な役割を持っているのです。しかし必要以上に長く続く痛みは大きなストレスとなったり、日常生活に支障をきたす場合もあります。普段から自身の体に気を配り、注意するようにしましょう。

【痛みを引き起こす成分】ブラジキニンの発見

1948年にブラジルの生理学者、薬理学者によって、ブラジキニンが発見されました。この研究は、動物実験から始まり、血圧降下作用があることが認められたのです。モルモットにブラジキニンを投与した際に、腸管をゆっくり収縮させる作用が見られたことから、ゆっくりという意味の「ブレディ」と収縮を意味する「キニン」を合わせて名付けられました。

その後、1954年にブラジキニンには発痛作用があることを確認。現在では、ブラジキニンが痛みの主要起因物質であると考えられています。

なるほど!筋肉がこわばりやすい4つの要因

目の酷使

集中して本を読んだり、パソコンを長時間見たりすると目のまわりの筋肉が緊張して血流が停滞。また同じ姿勢を続けることで筋肉や神経が疲労してしまいます。

運動不足

運動不足の人は筋力が衰えているので、日常動作でさえも腕や脚に負担がかかりやすい状態です。加えて、頭や腕の重みを支えきれず、首や肩に筋肉疲労を起こす場合も。

ストレス

近頃注目されているのが、ストレスなど精神的な原因から起こる肩コリ。ストレスによって自律神経のバランスが乱れると血行が悪くなり、肩コリの原因になります。

冷え

体が冷えれば筋肉がこわばり、血流が滞りやすくなります。冬のような気温の低い季節だけではなく、夏の冷房や冷たい飲み物などによる四肢の冷えにも注意が必要です。