皮膚は縁の下の力持ち

皆さんは、人間の体の器官の中で最も大きな組織は何だと思いますか。答えは体を覆っている皮膚。なんと総面積は約1.6㎡(成人の平均)。もし肌全体を1枚に広げると畳約1畳分にもなり、総重量は体重の約8%、つまり体重50kgの人では約4kgあるというから驚きです。実は、皮膚は私たちの体を正常な状態に保つためにとても大切な役割を担っています。しかし、あまりにも見慣れているため、その重要性を見過ごしてしまいがち。そこで皮膚の仕組みや役割、そして健康状態を保つためのポイントをご紹介します。

まるでミルフィーユ?複数の層をもつ皮膚

皮膚の内部は主に3つの層で構成されています。一番外側が外的な刺激から皮膚を守っている表皮。その下の真皮はコラーゲンやヒアルロン酸などの成分で構成され、肌に弾力を与えています。そして皮下脂肪を主とする皮下組織が土台となっており、まるでミルフィーユのような作りなのです。
また、表皮は角質層(かくしつそう)、顆粒層(かりゅうそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層(きていそう)の4層に分かれており、肌の代謝(ターンオーバー)を行うことが特徴。ただし、手のひらと足の裏だけは角質層と顆粒層の間に透明層があるため5層になっています。

便利機能がてんこ盛り!注目すべき6つの働き

次に、皮膚の働きを具体的に見ていきましょう。皮膚は大きく分けて6つの働きがあります。汗を出して体温を適切な温度に保ったり、細菌の侵入を防いだり、体を外部環境から保護する役割を果たしているのです。

保護作用

物理的衝撃や紫外線などの外的刺激、細菌や化学物質など異物の侵入を防ぐバリアです。真皮にあるコラーゲン線維やエラスチン線維が肌のハリを維持し、外部からの圧力をやわらげる作用も。

吸収作用

皮膚は表皮や毛穴を通して水分や栄養を吸収する働きも持っています。だから外側からのスキンケアが有効なのです。

分泌排泄作用

皮脂や汗を分泌し、老廃物を排泄する働きがあります。皮脂と汗が混ざり合うことで皮膚表面を保護する皮脂膜が生まれ、肌のうるおいを守ることができます。

知覚作用

肌に物が触れた際に体を警戒させる機能によって、温覚、冷覚、触覚、痛覚などの感覚を感じることができるのも皮膚の大切な働き。中でも特に敏感なのは、痛覚と言われています。

体温調節作用

熱を通しにくい構造のため、暑い時や体温が上がった時は汗をかくことで熱を放射。体温の上昇を防ぎ、寒い時は体温を外へ逃がしにくくする働きがあります。

表現作用

ドキドキして頬が紅潮したり、ショックで顔面蒼白になるなど、心の動きは皮膚に現れることがあります。こうした感情の表現も大切な働きです。

ターンオーバーのしくみ

私たちの肌は一定のサイクルで新しく生まれ変わっています。この代謝の仕組み(ターンオーバー)によって健康な肌を保っているのです。

スキンケアで健やかな皮膚へ!

健やかな肌を保つためには、皮膚の働きをサポートする日々のスキンケアが大切。例えば次のようなことを行うのがおすすめです。

  • 肌の乾燥を防ぐ
    自分の肌質に合った基礎化粧品で肌にうるおいを与えましょう。肌が乾燥しがちな人であれば、特に肌のうるおいを長時間キープする乾燥肌用化粧品がおすすめ。
  • 紫外線をガード
    紫外線は表皮を乾燥させ、肌のハリや弾力を保つ真皮のコラーゲン線維やエラスチン線維に損傷を与えてしまいます。日焼け止めや帽子で紫外線から肌を守りましょう。
  • やさしく洗顔する
    丁寧な洗顔は細菌の繁殖予防にもつながります。肌への摩擦は肌荒れの原因になるため激しく擦らないよう注意。ぬるま湯で素早く洗うことで乾燥予防にも。