自然の恵み山菜を食べよう

飽食の時代と言われる現代、スーパーに行けばほとんどの食材が手に入ります。それでも、やはり自然そのものである山菜はなかなか出会えないのではないでしょうか。え、売ってる?いやいや、山菜は自分で採るからこそ本当の美味しさを味わえるのではないでしょうか。

自分で採った山菜は格別の味わいです

ほろ苦く野性味あふれる山菜。その季節にしか味わえないという特別感も醍醐味です。大自然に囲まれた山々の中で自分で見つけ自分で採る山菜は調理方法にもこだわりたくなりますね。そんな山菜狩りをしてみたくても山がない…という方は旅行代理店に相談してみてください。最近ではガイド付きの山菜採りツアーも話題になっています。さて、そんな山菜採りですが、いつ頃から楽しまれていたのかご存知でしょうか。その答えは奈良時代。万葉集に「春の山菜を採りに行こうと思ったのに雪が降ってしまった」という内容の歌が記載されています。平安時代に入ると、健康に良いと七草粥を食べる風習が広がり、江戸時代の飢饉では山菜で飢えをしのいだそうです。そして現代、山菜は貴重な珍味として重宝されるようになりました。
山菜採りの魅力と言えば、まず思い当たるのが宝探しのようなワクワク感です。目当ての山菜と出会えるように、全部採り尽くさないこと、根は残しておくことなどこれらのルールを守ることで、山菜は人間だけでなく山に生きる動物たちの貴重な食べ物であるということを再認識することができます。

栄養たっぷりな山菜を元気な毎日に役立てましょう

タラの芽

おいしい食べ方

まずは根元の固い皮をはがしましょう。天ぷらなどの揚げ物にする場合はそのまま水洗い、おひたしや和え物にする場合はサッと茹でてアク抜きするようにしましょう。肉巻きやシチューにしても美味しくいただけます。

栄養成分

山のバターと言われるほど良質なたんぱく質と脂質を含んでいます。また、貴重なミネラルであるカリウム、マグネシウム、リン、鉄分も豊富。しかもベータカロテンも摂れるスグレモノ!!

ワラビ

おいしい食べ方

うぶ毛が多く首が上を向いていないものが新鮮で味も良いとされています。美味しくいただくならアク抜きをしっかりするのがポイント。重曹と熱湯が入った鍋にワラビを1晩浸けて、さらに半日ほど水にさらしましょう。

栄養成分

ビタミンB2と葉酸がたっぷり含まれたワラビ。低カロリーで糖質も低いためヘルシーなのも特徴です。乾燥させるとカリウムや鉄分が生の状態より約10倍も増えるのだとか!!

ウルイ

おいしい食べ方

新鮮なものは茎がふっくらして白く、葉先が鮮やかな緑色。アクがほとんど出ないため、生で食べればシャキシャキした歯ごたえを楽しめます。薄皮を剥がして天日で干せば「やまかんぴょう」という保存食にもなります。

栄養成分

ビタミンCが豊富で健康維持が期待できるウルイ。また、鉄分の吸収を助けてくれるとも言われています。さらに食物繊維がたっぷり含まれているため、スッキリ感にも役立ちます。

ゼンマイ

おいしい食べ方

うぶ毛が多く葉が広がっていない10㎝~20㎝くらいの新芽が食べ頃です。重曹を加えたお湯で緑色になるまでアク抜きしましょう。煮物やきんぴら、炊き込みご飯にするなど、和食のレパートリーが広がります。

栄養成分

ベータカロテンやビタミンC、食物繊維がたっぷりなゼンマイ。ただ、ビタミンKが含まれているため、ワーファリンなどのお薬を常用している方は注意するようにしましょう。

コゴミ

おいしい食べ方

先端がよく巻かれ茎がしっかりした状態が新鮮。アクが少なく、採れたてのものは生食でも楽しめます。和え物やおひたしにすると出るヌメリは、市販の野菜では感じられない醍醐味だと言えるでしょう。

栄養成分

若々しさに大切なベータカロテンやビタミンC、ビタミンEを豊富に含んでいます。また普段の食生活で不足しがちな不溶性の食物繊維も摂れるのが利点です。

山菜採りで気を付けること

早速、山菜を採りに行こう!と思った方、焦りは禁物です。やはり相手は大自然、しっかりと準備をしなければなりません。山に入ったら、ハチや蚊、ヒルなどに刺されることもありますし、ヘビやイノシシに遭遇することも珍しくないのです。そのため、衣服の準備や非常時の水や食料、通信機器、バッテリーなどは欠かさないようにしてください。
また、誤って有毒植物を採取し、食べてしまうという事故も起こっています。最悪、命を落とすこともあるため、十分に注意してください。下は厚生労働省が「食用と間違いやすい」と特に注意喚起をしている有毒植物の例です。これらは食べられるかな?と迷ったら、絶対に食べないようにしましょう。

イヌサフラン

  • 中毒症状
    嘔吐、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難といった症状が現れます。重症の場合は死亡することもあります。
  • 間違えやすい植物
    葉は、ギョウジャニンニクやギボウシと類似しており、球根はタマネギと間違えることも。

スノーフレーク

  • 中毒症状
    スイセンの一種で、食後30分以内で吐き気や嘔吐、頭痛が現れます。昏睡状態に陥る可能性も。
  • 間違えやすい植物
    ニラやノビル、タマネギと間違われやすい植物です。

トリカブト

  • 中毒症状
    食後10~20分ほどで唇や舌、手足がしびれ始めます。重篤化すると、痙攣や呼吸不全を起こし、死亡することも。
  • 間違えやすい植物
    ニリンソウやモミジガサに似ています。

ヒメザゼンソウ

  • 中毒症状
    食後すぐに唇がしびれ始め、口腔内の腫れや胃痛を引き起こします。
  • 間違えやすい植物
    上であげたウルイに似ている物です。