紫外線による怖〜い健康被害と予防法

紫外線により健康被害を受ける箇所は、大きく分けて2つ。肌と目です。どちらも外気に晒されているため、少しの油断が最悪の事態を招くこともあるので注意しましょう。

肌の奥まで入り込み細胞を破壊する

皮ふにはもともと紫外線に対して抵抗するための力が備わっています。メラニンという言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。そう、肌に存在する黒色色素のことです。黒色には紫外線を遮断する働きがあるため、人の肌は防衛反応としてメラニン色素を分泌させるのです。

急性傷害

中にはメラニンを分泌する働きが弱い人がいます。いわゆる色白の人は要注意。紫外線に当たると炎症を起こし、真っ赤に腫れ上がってしまうことも。ひどい時には水ぶくれとなって、皮が剥けてしまうこともあります。日焼けをしすぎたなと思ったら、なるべく早く冷水などで冷やすようにしてください。

慢性傷害

慢性傷害とは、紫外線によるダメージの積み重ねのこと。長年、日光を浴び続けていると皮ふのシミやシワが目立つようになってしまいます。一般的に加齢が原因だと思われがちですが、実はこの原因の多くは紫外線による慢性傷害によって引き起こされた結果。この紫外線、つまり太陽の光による老化現象を「光老化」と呼びます。またシミやシワ以上に悩ましいのが「脂漏性角化症」という病気。褐色・黒色の肌組織がイボ状に増殖します。これができたからと言って、健康への害はないとされていますが、美容を気にする女性にとってシミやシワ以上に恐怖ではないでしょうか。

皮膚がん

そして最も恐ろしい肌への影響が皮膚がん。紫外線は肌細胞の遺伝子を傷つけます。通常は数日で自然に修復されるのですが、多量の紫外線を浴び続けてしまうと、誤った遺伝子情報を持つ細胞が増殖し、がん化してしまいます。
日本は先進国の中では、皮膚がんの少ない国だと言われていますが、それでも年間10万人あたりに5人の割合で発症すると推定されます。その発症率は増加傾向にあり、オゾン層の破壊も原因の一つだと考えられることも。目に見えるがんのため、おかしいと思ったらすぐに診断を受けましょう。

日焼け止めを塗れない目への被害に要注意

光を映像として読み取る目は、他の部位と比べて紫外線の影響も大きくなります。目という特性上、日焼け止めも塗れないため、予防は困難。外出時は必ずサングラスをし、紫外線が直接目に当たることを防ぐようにしてください。適切に使用することで、約90%もカットすることができます。

紫外線角膜炎

まず紫外線の悪影響は目の最も外側にある角膜に現れます。強い紫外線を浴びた結果炎症を起こし、充血や異物感、涙目、さらにひどくなると強い眼痛を生じ、眩しさで目が開けられなくなることも。紫外線角膜炎は、雪面などの特に紫外線反射が強い場所でも起こるため「雪目」と呼ばれることもあります。
昼間に強い紫外線を浴びるとその日の夜から翌朝にかけて発症し、その後、24〜48時間で治まってきます。万が一、痛みが治まらなかったり目を開くことすらできない場合は、すぐに眼科を受診するようにしましょう。

翼状片(よくじょうへん)

紫外線は角膜を傷つけた後、次に結膜を破壊します。翼状片とは、白目の部分が黒目の部分にまで侵食し始める病気。進行すると瞳孔近くまで白目が広がってしまい、視力傷害をきたすこともあります。農業・漁業従事者など、屋外での活動時間が長い人もかかりやすい病気です。鏡を使って自分の目をじっくり観察することで見つけることもできるので、思い当たる人はチェックを欠かさないようにしてください。最悪の場合、手術が必要になってしまいます。

白内障

曇って汚れた窓ガラス、ボヤけて景色がハッキリ見えませんよね。これと全く同じ状態が目の中で起こっている病気を白内障と言います。
目の奥へと入り込んだ紫外線は、レンズの役割をしている水晶体を濁らせ視界を奪います。進行すると失明もあり得るため、早急に対処しなくてはいけません。視界のボヤけが気になったら、眼科で検査をしてください。

紫外線を防ぐために必ず日焼け止めを活用しましょう

紫外線の健康への悪影響は、後からケアするよりも、未然に防ぐことが何よりも大切となってきます。外出時は必ず日焼け止めを塗るようにしてください。長時間、屋外にいる時は汗で流れ落ちてしまうこともあるので、2〜3時間おきに塗り直しましょう。

PA

日焼け止めの強さの基準となる。「PA+」や「PA++」などの表記は、UV-Aの防止効果の強さを表しています。炎天下でのレジャーなどには「+」の表記が多いものを選びましょう。

SPF

主にUV-Bを防ぐ強さの基準となる。数値が大きいほど効果が高く、SPF30であれば「塗ってない状態の30倍、炎症を遅らせる」ことができるという意味です。

悪影響だけじゃない!紫外線のおかげで骨太な体へ

人間は、紫外線を浴びることで体内でビタミンDを生成しています。これはカルシウムの吸収を促す働きがあり、食事からだけでは補うことが難しい栄養成分です。紫外線を怖がるだけでなく、しっかりと日光を浴びることも健康にとって大切です。