ビタミン|『生命』の意味を持つ欠かせない栄養素

ビタミンと聞くと何を想像しますか?
レモンやオレンジなどの柑橘系を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、体に良さそうなのはわかっていても、具体的にどういう働きをするものなのかは広く知られていません。

ビタミンとは「生命に不可欠な微量成分」という意味。不足することで命を左右することもあるほど欠かせない栄養成分です。

ビタミンのことをしっかり知ることで、あらためてご自身の健康と向き合ってみましょう。

エンジンの潤滑油となるビタミン

5大栄養素の一つに数えられるほど体に不可欠な成分とされるビタミン。実は物質の名称ではなく、ある役割を持つ成分の総称であることをご存知でしょうか。その主な役割というのがエネルギーを作り出すサポートです。

例えば車を思い浮かべてください。車はエンジンでガソリンなどの燃料を燃やして走っています。このエンジンがスムーズに動くためには、エンジンオイルが欠かせません。

人間も同様に、元気に動くためには燃料が必要です。私たちの体の細胞一つひとつにはTCA回路というエネルギーを生み出す仕組みが備わっており、そこに糖質や脂質、時にタンパク質がとりこまれることでエネルギーへと変換されます。

そして、TCA回路の潤滑油の役割をしている成分がビタミン。つまり、ビタミン不足はエネルギー不足に直結してしまうと言えるのです。

次に挙げられるビタミンの役割といえば、健康な体を維持すること。体の細胞は日常の中で傷つき、老いていきます。筋肉や神経、血液など、全てに例外はありません。こうした各細胞の修復をしたり、抵抗力を高めることを手助けするのもビタミンです。

人間に必要なビタミンは13種類

ビタミンといえば何種類もあることで有名です。人間に必要なビタミンは下にまとめた13種類。大きく脂溶性と水溶性に分けられます。

それぞれ働きが違いますが、全て私たちの健康維持に不可欠なもの。そのため、偏った食生活などで特定のビタミンが不足すると、ビタミン欠乏症という病気を引き起こしてしまうこともあるので要注意。

代表的なものが、ビタミンB1欠乏症の脚気や、ビタミンC欠乏症の壊血病。時に命を落とすこともある恐ろしい病気です。

ビタミンはいくつまであるかご存知ですか?

ビタミンに付けられるアルファベット、なんと『V』まであるんです。ただ、それらの研究が進む中で、人間の体に必須ではないとされたり、ビタミンと呼んでみたものの実は違った…などの理由で外されてしまったものも数多くあります。

例えばキャベジンとして有名なビタミンU。これも体に必須ではないという理由で、ビタミンから除外されました。

なんでビタミンBには数字が付くのか?

先ほど、ビタミンは名称ではなく役割の総称と話しました。ビタミンB群は主に代謝という役割を担っています。

その昔、ビタミンBは「水に溶けて栄養の代謝に関わる成分」という一つの栄養素として扱われていました。しかし、詳しい成分分析ができるようになる中で、いくつも単一成分が存在することがわかってきたのです。そして、発見された順に約20の成分が「ビタミンB〇」と呼ばれることに。

さらに徐々に研究が進む中で、働きが違った…不要の成分だった…という結論に至ったものが除外され、今のように歯抜けの順番になってしまったというわけです。