秋の自然食を楽しもう

秋になるとあちこちで見かけるようになる「どんぐり」。一見、どれも同じように見えるかもしれませんが、じつは大きさや形などそれぞれに特徴があり、種類は様々です。
また、どんぐりを日常的に食べる地域もあり、栄養価の高さや先人の知恵も伺えます。身近な存在ではありつつも、意外と知られていないどんぐりの生態を見ていきましょう。

どんぐりって植物のどの部分?

コロンと丸い形をしているどんぐりですが、これはいわゆる果実にあたる部分で「堅果(けんか)」と呼ばれます。植物学的には、ブナ科植物の果実(堅果)の総称で、この堅果をお椀状の殻が覆っています。これは「殻斗(かくと)」と呼ばれ、どんぐりの「ぼうし」になる部分です。

いくつ知ってる?どんぐりの種類

どんぐりの種類は、交雑種や変種を除いて日本固有種で22種あるとされています。秋の味覚として知られる栗もどんぐりの一種です。種類を見分けるのはとても難しく、木や葉っぱを見て判断するのがわかりやすい場合も。
そんな数あるどんぐりの中から、一度は見たことがある代表的な4種類をご紹介します。

マテバシイ

街中の公園の木や街路樹によく利用される。熟すまでに2年かかり、殻が硬くしっかりした大きめのどんぐりになる。中身を砕いてどんぐりクッキーなどにも利用できる。

コナラ

雑木林の代表的な樹木のひとつ。冬には葉を落とす落葉広葉樹になる。細長く大体の人が思い浮かべる代表的などんぐりの形をしている。実る年と実らない年の差が激しい。

クヌギ

コナラと同じく雑木林の代表的な樹木で、冬には落葉広葉樹になる。どんぐりは大きく丸く、殻斗はもじゃもじゃしていて、こどもに特に人気。2年かけて大きく育つ。

シラカン

公園の木や街路樹としてよく利用される。一見、コナラのどんぐりに似ているが、殻斗が縞模様で区別がつく。葉はやや厚めでしっかりしている。熟すのは遅めで10月中旬から11月。

どんぐりはスーパーフード

縄文時代では主食として食されていたどんぐり、じつはとても栄養価に優れています。当時は豊かな森が発達しており、どんぐりのなる樹木がたくさん生えていました。縄文人にとって、栄養豊富などんぐりはとても大切な食料だったのです。

まず、どんぐりには必須ミネラルである「マグネシウム」と健康な骨を作るのに欠かせない「カルシウム」が豊富に含まれています。また、抗酸化作用が高いビタミンCも含み、アンチエイジング効果が期待できます。ポリフェノールの含有量がブルーベリーよりも多いのが特徴です。
そして、どんぐりに含まれる「アコニック酸」にはデトックス効果があり、お通じの改善も期待できます。

今年の秋はどんぐりを楽しもう

ここまでどんぐりの特徴や栄養についてご紹介してきましたが、その形を利用して色々な楽しみ方ができます。
こどもの頃、どんぐりでコマを作ったり、やじろべえやマラカス、人形を作って遊んだ記憶がある方も多いのではないでしょうか。童心にかえって、どんぐりを使った遊びを楽しむのも良いかもしれません。今年の秋は、ぜひどんぐりの文化を楽しんでみてください。

自然の恵みに感謝の気持ちを

どんぐりは山の生き物たちの大切な食料です。「山の恵みをいただいている」という感謝の気持ちを忘れずに必要な分だけ取るようにしましょう。動物にとっても大事な食べ物を分かち合う事で、自然の尊さ、食事の重要さを考えるきっかけになれば幸いです。

自然の恵みと先人たちの知恵

長野県木曽王滝村の郷土食
ひだみ料理

長野県木曽の谷奥、御嶽山の麓にある小さな村「王滝村」。王滝村では、古くから培ってきた豊かな自然環境とその恵みを生かした文化が今もなお根付いています。そのひとつが「ひだみ料理」。「ひだみ」とは、木曽地方でどんぐりの意味を持ち、ひだみ料理はどんぐりを使った料理のことを指します。

パイやクッキーなどのお菓子をはじめ、どんぐり粉を練り込んだお餅、コーヒーなど多種多様な料理があり、アク抜きの際に出た水は布を染める染料に使用するなど、食用にとどまらず様々なものに活用されています。どんぐり料理は仕込みから調理まで非常に多くの工程と手間がかかり、とても貴重な食文化です。長野県へお越しの際は、雄大な自然とともにぜひどんぐりの食文化にも触れてみてくだざい。

【おまけ】他にもたくさん!長野県の秋の味覚

種なしで皮までおいしい!
健康にも嬉しい旬のぶどう

秋の味覚を代表する果物のひとつであるぶどう。長野県のオリジナル品種「ナガノパープル」や「シャインマスカット」は皮まで丸ごと食べることができ、果汁たっぷりのさわやかな甘味が人気です。ぶどうには、美味しさだけでなく健康に嬉しい栄養がたっぷり。抗酸化作用が期待できるポリフェノールや、血圧改善に効果があるアミノ酸の一種「GABA]が豊富に含まれることから、機能性食品としても注目を集めています。

山国ならではの食文化
清らかな水で育つ信州の川魚

海がなく山に囲まれ、豊かな水源に恵まれている信州。佐久地域では、秋になると「小鮒の甘露煮」が作られ、各家庭に秋のはじまりを告げます。川魚には特有の臭みがあり、特に小鮒は好みがわかれますが、甘じょっぱいタレと独特の苦みがごはんのお供やおつまみにぴったり。昔から地域の人々に愛されています。

↓今回の記事を参考にどんぐりクッキーを作ってみました!その様子もぜひご覧ください↓

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