信州の寒さが生んだ郷土食!むかしなつかしの「氷餅」

だいにち堂 飯沼です。お正月は餅を食べる方も多いと思いますが、自宅で作られる方は少なくなったのではないでしょうか。昭和の私の家でも大みそかは朝から薪を焚きせいろでもち米を蒸し、杵と臼で一日がかりで餅を搗き上げました。家族総出で行う年の瀬の風物詩でした。現代ではなかなか見かけなくなりましたがそんな中、安曇野市内のある木工屋さんでは年末の需要期に合わせ、毎年たくさんの木製の杵を作り全国へ出荷をしているそうです。

餅は新年を迎える際の必需品として存在が大きいですが、そのままでは本来の美味しさが長続きしません。信州ではその餅の保存方法として「氷餅」(こおりもち)という保存食がありました。厳冬期のこの時季に餅を和紙に包み、藁でいくつか編み連ねそれを2~3日ほど水に浸した後、寒風の中軒下に吊るして凍らせ、また乾燥させてパサパサの状態にした保存食です。当時の我が家でも氷餅のすだれが軒下で風に揺れていました。当時の食べ方はお湯で戻して砂糖をかけたり、水に浸して焼いてから甘じょっぱくしたりとお菓子が豊富ではなかった時代のおやつとしても重宝しました。

この時季になると野菜直売所や道の駅などで見かけますが、結構な価格で販売されています。手間を考えると仕方ないかと思いますが、見かけると懐かしさと味がふわっと湧いてきます。