えがおぶらり旅|東京都大田区が誇る『御嶽神社』

東京都大田区の御嶽山駅から徒歩ですぐの場所にある「御嶽神社」。天文四年(1535)の創建された当時はまだ小さな祠でしたが、江戸時代後期に一山行者という人物が長野県の木曽御嶽山の御分霊を勧請し、今現在の立派な社殿を建立したとされています。

御嶽神社の歴史

江戸時代には山岳信仰が盛んだった背景があり、木曽御嶽神山を信仰する信者たちが多数訪れました。また、「御嶽神社に三度参拝すれば、木曽御嶽山へ一回行ったのと同じ」と信じられ、そのご利益を得ようと木曽まで行けない江戸近郊の崇敬者で大変賑わったとも言われています。御嶽山駅の名前の由来も、この神社からきているのだそうです。

御嶽神社の特徴

御嶽神社の特徴といえば、まずとても大きな社号標。鳥居の正面に立つと、その堂々として存在感に圧倒されます。参道を歩いて正面にある社殿の左右に置かれているのは、狼の狛犬。山岳信仰では、神使が狼とされる事が多いそうです。また、社殿の側面には浦島太郎や養老の滝など、和漢の物語や古事にちなんだ彫刻が施されています。この彫刻は大田区の指定文化財にも登録されていますので、時間のある時にじっくり見て回るのもいいかもしれませんね。

社殿の左奥には、かつて一山行者が行水をしていたと言われる古井戸があります。長く参拝者が顧みられない状況が続いたため、平成20年に、人と自然が一つになれる場所である「杜の霊神水」として新たに甦りました。

社殿の右側には、樹齢400年にもなる黒松が2本並んで高く聳え立っています。その様子から「夫婦松(めおとまつ)」と呼ばれ、古くから崇敬を集めていました。縁結び・子宝・長寿祈願にご利益があるそうです。

長野県との深い繋がり

取材に訪れた大田区でふらりと寄った神社が、長野県の山と深い繋がりがあったことに何か不思議な出会いを感じました。この取材中にもご近所にお住まいと思われる地元の方々が参拝されている様子をお見掛けしましたが、それだけ地域に根付いている素敵な神社ということでしょう。商店街の中にあるとは思えないほど清閑な空間で山岳信仰の歴史を体感しにぜひ皆様も訪れてみてはいかがでしょうか。