6年間成長を見守る。130年の歴史を持つ「ランドセル」

小学生になったら背負う、ピッカピカのランドセル。ひと昔前は、男の子は黒、女の子は赤のランドセルを使うことが一般的ではなかったでしょうか?今は色や種類も豊富になり、ランドセルを購入する活動が「ラン活」と呼ばれるほど過熱!ここ数年で大きな変化を遂げているランドセル。その歴史に迫ってみましょう!

ランドセルの起源は軍の装備品だった?

ランドセルの起源は江戸時代に遡ります。幕府が洋式軍隊制度を導入する際、持ち物を収納するための装備品としてオランダからもたらされたバックパックを利用したのがランドセルの始まりと言われています。またその名前はカバンに「ランセル」と書いてあり、その発音がなまって「ランドセル」になったのだとか。

学習院初等科でランドセルを導入

通学鞄としてのランドセルの利用は明治以降でした。初めてランドセルを採用した学校は日本の模範小学校として1884年に開校した学習院初等科だと言われています。学習院は現在も皇族の方々などが通う格式のある小学校。開校当初は馬車で登校したり、使用人に荷物を預けたりと通学形態は様々でした。
一方で、服装は開校当初から統一され、制服が採用されていました。創立1年後の1885年には「教育の場での平等」との理念から馬車・人力車による登校を禁止し、学用品を生徒が自分で持ち登校するための通学鞄として、リュックサックのような形をした鞄が導入されました。

伊藤博文がプレゼント!?

今の形のランドセルを使うようになったのは1887年頃。のちの大正天皇である嘉仁親王が学習院初等科入学の際、伊藤博文が祝い品として軍で使用していたランドセルに似せた鞄を献上しました。それがきっかけで世間に徐々に浸透し、今のような形になったとされています。1890年には、素材が黒革に決定。1897年には細やかな形状や寸法などが統一されました。以降130年以上経過しても基本的なスタイルは全く変わっていません。

進化と遂げるランドセル

ですが戦前の庶民には革製のランドセルは贅沢な高級品で、代わりに風呂敷や安価な布製の鞄がまだまだ主流でした。ランドセルが全国的に普及したのは高度成長期を迎えた頃と言われています。全国的に普及してからは男子は黒、女子は赤と色が区別されていきました。
2000年になると、有名衣類メーカーが数十色ものカラー展開のフリースを販売し、大きな話題になった事を覚えている方も多いでしょう。実はその翌年に量販店から24色ものランドセルが発売され、他の百貨店もこれに続きました。2010年以降はカラー展開だけではなく刺繍入りなどおしゃれで個性豊かなランドセルが次々と登場し、小学生のファッションの一部となりました。

6年間使い続けられる秘密

色や大きさなど、流行や時代に合わせて変化してきたランドセル。実は見た目だけではなく、機能面でもより背負いやすく、安全に使えるよう様々な工夫が施されるようになっています。
例えば、ランドセルの蓋は手動ロックからオートロックになりました。ランドセルの中に取り付けられるセカンドポケットのサイズが大きくなったり、防犯ブザーを取り付ける専用の金具がついたりなど、大きな進化を遂げてきました。
また、驚くのはランドセル1つを作るのに使用する部品の数。その数はなんと200以上となり、さらにランドセルの多くが現代でも手作業で作られています。
手間暇かけて作り上げられるランドセル。そんなランドセルだからこそ6年間使い続けられるのかもしれませんね。

役目を終えたランドセルをLet’sリメイク!

子供の成長を6年間見守り続けてきたランドセル。使い終わったからと捨ててしまうのはあまりにもったいない!かと言ってそのまま保管しても劣化が進むだけですよね。そこでランドセルに新たな命を吹き込むリメイク事例をご紹介します。

財布

革製品で実用性ナンバーワンといえばお財布です。使い勝手もよく二つ折り財布は小ぶりなので、ランドセルを背負っていた本人が使えば愛着もひとしお。

IDケース

学生から社会人まで使えるIDケース。中学生になり交通機関を使っての通学が始まる方も多いでしょう。毎日手放せない革小物にリメイクしてみるのもいいかもしれません。

スマホケース

中学校入学を機にスマートフォンを持たせる家庭も多いですね。毎日何度も手に取るスマホケースに加工して、ランドセルを役立ててはいかがでしょうか。