頭痛・耳鳴り・めまい…水分停滞に要注意

季節の変わり目やふとした時に表れる「頭痛・めまい」などの不調を、仕方ないものだと諦めてはいませんか。実は、こうした体の状態には体内の水分が密接に関係しています。そのため私たちの体と水分の関係を知り、しっかりとケアをすれば、気候の変化に左右されず元気に過ごすことができるでしょう。

体を巡っている水が健康を守っている?

まず私たちの体は約60%が水分でできていると言われています。口から入った水分の大部分が小腸と大腸の粘膜から体内に取り込まれ、やがて胃や肺、手、足など体の隅々にまで行き渡ります。つまり体の機能や臓器など肉体の大部分に水分が使われているのです。健康な人の体内では、水分が滞りなく全身を巡ることで元気を保っています。

加齢とともに変化!体内の水分

私たちの体の水分量は年齢とともに変化します。5歳児で体重の約70%、成人で約60%、高齢者で約50%です。健康な体では1日に摂取する水分は約2.5リットルと言われ、同じ量を1日で排泄します。しかし、水分の出入りのバランスが崩れる時、体に不調が表れます。

水が滞ってしまう「水滞」とは?

ところが気候の変化、すなわち気圧や気温、湿度が変化すると、体内の水分量を調節していた自律神経が乱れてしまう場合があります。ここで問題となるのは、水分を排泄する機能が上手く働かないこと。
本来、体は水分を摂取した分、同じだけ汗や尿でしっかりと体から排泄をしてバランスを保っています。体内に水分が滞り、余分な水を溜め込んでしまうことで、不調を引き起こすのです。
これを東洋医学では「水滞」と言います。読んで字のごとく、水分代謝が悪く、水の排出が停滞している状態のことです。水滞には「頭痛」「めまい」「立ちくらみ」といった症状が多く見られます。
最近はお家時間も増えているため、体を動かす機会が減ったという方、特に汗をあまりかかない、排尿、排便の回数や量が減ったという方は注意が必要です。

耳鳴りや神経症など体に様々な不調が

不要な水分が汗や尿などで排泄されず溜め込んでしまうと、代謝も悪くなります。例えるなら、汚れた水を張ったお風呂に何日間も浸かっているようなもの。こうした水分調節の乱れから引き起こされやすい症状には次のようなものがあります。

  • 耳鳴り
    ジー!というセミの鳴き声のような音や、ザーザー!というテレビの砂嵐のような低音、キーン!という金属音などに例えられる耳鳴り。慢性化することもあるため、注意が必要です。
  • めまい
    クラクラ、または、グルグルと視界が回るようなめまいも悩ましい症状の1つ。ひどいと立っていることも辛くなり日常生活がままならないことも。
  • 頭痛
    天気が崩れる前には頭痛がするという方も多いでしょう。ズキズキ、ぎゅーっと締め付けられるような痛みが代表的です。中には気圧が落ち着くまでずっと痛みが続いてしまう場合もあります。
  • 神経症
    肉体的だけではなく、精神的な不調を感じることもあります。イライラしたり不安を感じるような神経症や神経過敏も、水分代謝が乱れていることが要因かもしれません。

気圧を感じる内耳センサー

内耳は気圧変動を敏感に感知します。そのため気圧が大きく変わると、内耳から脳へと過剰な情報が与えられ自律神経が乱されてしまうのです。

東洋医学でいう「水」とは?

漢方医学では、「気」「血(けつ)」「水(すい)」と呼ばれる3要素が体の中を常に巡っており、それによって心と体の健康を保っているとされています。これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに不調や病気、障害が起きてくると考えられています。「気」は代謝や運動等のエネルギーといった生命活動の原動力、「血」は血液とその中に含まれる栄養素、「水」は血液以外の全ての体液(汗、唾液、尿、関節液など)をあらわします。この「水」は老廃物を体外に排出しながら体に必要な水分のバランスを保つ大切な働きをしているのです。ところが「水」が滞り水滞となると、結果として「気」「血」「水」三要素のバランスが崩れてしまい、めまいや頭痛、耳鳴りといった不調を引き起こします。