避けがたいヒザ・腰・肩の痛み

ズキズキ・ギシギシ、年齢を重ねるとヒザや腰、肩の痛みが気になってしまうもの。また、痛みを通り越してジンジンしびれ続けるという声もよく聞きます。一体、関節はどのような状態になってしまっているのでしょうか。

関節の曲げ伸ばしスムーズにできますか?

正座をするとヒザがズキッ、荷物を持ったら腰がゴキッ。腕を上げただけで肩がグキッ…思わず声を出してしまうほどの痛みを抱える人は、厚生労働省の調べによると50代から急増傾向にあることがわかりました。もはや避けて通ることはできない国民的問題だと言えるでしょう。
しかし痛いからといって体を動かさないと、筋力や身体能力の低下にも繋がり、さらにそれが痛みを引き起こす原因にもなってしまいます。まさに痛みの悪循環。ここから抜け出すために関節痛や神経痛の仕組みをしっかりと理解し、上手に付き合って行く必要があります。

関節痛

関節痛は関節軟骨の摩耗によって引き起こされると言われています。通常、軟骨組織はツルツルしていますが、年齢とともに水分が失われ弾力性が低下し、それに伴って表面はギザギザ・ザラザラに。この近くを通る神経や密接した細胞は、関節を動かすたびに傷つけられてしまいます。例えるなら、ヤスリで擦られ続けているような状態です。その結果、関節内にあるむき出しの細胞は腫れ上がり炎症を起こしてしまうのです。進行すると寝たきり生活という危険性も否定できません。
主な原因として考えられるのが、加齢による脚力の低下や肥満、そして激しいスポーツです。また、O脚の人はヒザに負担がかかりやすいため、特に注意が必要です。特に痛みがひどい場合は無理やり動かさず、痛み止めの薬などを服用するようにしましょう。

神経痛

脳から動作や感覚を伝えるための情報経路の役割を担っている末梢神経。1000億個以上の細胞が糸のように連なってできており、全身の隅々まで張り巡らされています。
神経痛は、この末梢神経が何らかの理由で刺激や圧迫され引き起こされると考えられています。例えば、緊張などのストレスは血管を急激に拡張収縮させ、筋肉の硬直に繋がります。これによって末梢神経はぎゅ~っと押しつぶされているような状態になってしまうのです。神経痛は、痛む場所が移動したり範囲が広いのも特徴です。

しびれ

手の平の関節というとイメージしにくいかもしれませんが、実は片手だけでも約30個の小さい骨が繋がりあっています。ヒザや腰と同じように軟骨も擦り減るため、痛みが起きるのも当たり前。さらに指先には多くの末梢神経が集中しているため、ズキッという1回の痛みよりも、ジンジンビリビリというしびれが続くようになってしまいます。

【解説】関節の仕組みとは?

関節とは骨と骨同士をつなぐ連結部位。実はその骨と軟骨以外にもたくさんのパーツで構築されています。そこで、ヒザ関節を例に、一つひとつの働きをご紹介します。

  • 大腿骨(だいたいこつ)
    太ももを通る骨。最も長く、体積があり、高い強度が特徴です。
  • 膝蓋骨(しつがいこつ)
    三角形をしており、ヒザの皿と言われることもあります。
  • 靭帯(じんたい)
    骨と骨をつなぎ、安定させる役割を持っているため、筋肉のように伸び縮みはしません。
  • 半月板(はんげつばん)
    クッションの役割をする軟骨。自己治癒能力がほとんど無く、再生が難しい組織です。
  • 脛骨(けいこつ)
    足の内側前面にあり、大腿骨に次いで2番目に長い骨です。
  • 腓骨(ひこつ)
    足の外側背面を通る骨。大腿骨と靭帯で繋がれています。

健康寿命の長寿を目指そう!ロコモティブシンドロームに要注意

WHO(世界保健機構)が2000年に提唱した健康寿命。「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」だと定義されています。簡単に言えば、自分自身の力で生活できず、介護が必要になったら健康寿命が尽きたということ。厚生労働省の調べでは、日本人の平均寿命から健康寿命を引くと男性で約9年、女性は約12年もの要介護生活が待っているという事実が明らかになりました。そして、歩行などの日常生活が困難になった状態のことをロコモティブシンドロームと言います。下の表をチェックし、1つでも当てはまった方は要注意。痛みやしびれを放置すると、さらに危険性が高まりますので、早急な対処が求められます。