えがおぶらり旅|山梨甲府編

突然ですが、皆さま宝石や水晶はお好きですか?様々な色や形がとても綺麗で、秘められたパワーを感じますよね。普段から、ネックレスやブレスレットなどで身に着けているという方も多いかもしれません。そんな宝飾品の名産地として知られ、『宝石の街』と呼ばれている場所があります。それが山梨県の甲府市です。

今から約1000年前、山梨県北部「御岳昇仙峡」の奥地にある金峰山周辺で水晶の原石が発見されました。これが、『宝石の街』の歴史の始まりです。江戸時代後期には水晶の加工が盛んになり、甲府は水晶の産地として栄えていましたが、明治時代になると、水晶が枯渇してしまいます。そこで、これまでの加工技術を途絶えさせるわけにはいかないと、海外など他の地域から水晶を調達し、今日までその技術を継承してきました。

山梨県産の水晶がその名を誇っているのは、産出量が多いだけではなく、形態や美観が素晴らしい良質品であるから。無色透明で大型の単結晶は、他に類を見ないほどだそうです。その高い品質と、長年培われた技術で、山梨県のジュエリー生産量は日本一です。

山梨県の笛吹市にある「宝石の庭園 信玄の里」は、そんな宝石や水晶を存分に堪能できる観光スポット。およそ1000坪の日本庭園の敷地いっぱいに、世界各国から集まったアメジストやローズクォーツ、タイガーアイなどの宝石が敷き詰められています。私たちが取材に訪れた日は、あいにくの雨でしたが、赤、ピンク、青、緑などの鮮やかな色合いがとても綺麗でした。庭園内には、宝石や彫刻が祀られた「救心洞」という洞窟もあります。薄暗い中に1月から12月それぞれの誕生石が展示されていたり、「大慈龍神宮」という神社があったり、神秘的な体験ができます。他にも、大木の化石や錦鯉が泳ぐ庭池があり、季節ごとに移り変わる花や緑なども一緒に楽しむことができると、観光客にも人気のスポットになっています。

庭園の隣には、山梨の地上産業である水晶研磨の歴史的資料や水晶細工を展示した「水晶研磨 伝承館」があります。世界各国の珍しい宝石や鉱石も展示されていて、じっと眺めているだけであっという間に時間が経ってしまうほどでした。ここに展示されている、武田信玄や山本勘助を宝石で作った「貴石画」はとても迫力があり、ぜひ皆さまにも実際に見ていただきたいおすすめのポイントです。今度山梨県に訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。宝石に興味がある方はもちろんですが、宝石にあまり興味がない方でも、その癒やしのパワーを感じることができると思います。