以外に知らない桜のお話

日本を代表する花といえば桜。3月から4月にかけて、日本全国が桜色に染まります。新年度が始まることからも、桜を見ると何か新しいことが始まりそうで胸が高鳴ることもありますよね。

桜はもともと縁起が悪いとされていた?

もはや桜なしでは春を語ることができないといっても過言ではないほど日本に浸透した桜ですが、なぜ私たちの心をこれほどまでに揺さぶるのでしょうか。パッと一気に咲き乱れ、サッと散りゆく…こうした咲き方から、もともと桜は縁起が悪いものだと考えられていました。「あっという間に心変わりすることに例えられる」と江戸時代での結婚式には避けられていたそうです。もちろん、今では当たり前となった桜湯も振る舞われることはありませんでした。
しかし、現代では全くの逆。おめでたいものとしてのイメージが定着しています。その始まりとして有名なのが、早稲田大学の合格発表。今のようにインターネットもない時代、合否の連絡と言えば電報でした。合格ならば「サクラサク」、不合格であれば「サクラチル」というのが電報の文句として用いられていました。

桜を見ると興奮するその理由が明らかに

盛大に咲き、吹雪のように花びらを舞い散らせる桜。その姿からもロマンを感じさせますが、実は私たちの心揺さぶる理由はそれだけではありません。お花見をするだけで興奮し、ハメを外しそうになってしまうのは桜の花粉に含まれるエフェドリンという成分によるものでもあるのです。桜の甘い香りの素となり、これを吸引することによって興奮を誘発します。また不安感を取り除いて自信を回復する効果も。春になると陽気な人が増えるというのも、春の気候だけではなく桜が分泌するエフェドリンのせいかもしれませんね。

地域によって異なる桜餅の形状

桜を使ったおめでたいお菓子といえば桜餅。実は、関東と関西ではその形状が異なっていることをご存知でしょうか。関東のものは長命寺の門前で販売されていた形が普及し、関西では道明寺の武士の携帯食とされていた物が広まったため、違いがあるとされています。また、桜餅に巻かれている葉には肝臓に影響があるクマリンという成分が含まれています。葉ばかりを食べる人はいないと思いますが、食べ過ぎには注意してください。

昔のお花見、実は桜ではなかった?広めたのは…なんとあの人!

もともと縁起が悪いと考えられていた桜ですが、なぜお花見は桜の木の下で行うようになったのでしょうか。その歴史は江戸時代初期にまで遡ります。
それまでのお花見は桜より梅。万葉集の歌でも、梅は118首に対し桜は40首程度と、やはり梅の方が昔の人々には身近だったことがわかります。
この梅主流の時代を桜に変えたのが徳川吉宗。庶民の日頃の不満を解消させるために花見を奨励し、江戸の各地に桜を植えさせたことが日本における桜のお花見の始まりでした。以降、全国的に普及し「花は桜木、人は武士」という言葉まで生まれました。花では桜の花が最も美しく、人はパッと咲いてサッと散る桜のように、死に際の潔く美しい武士が最も優れていることを意味します。
これからお花見をすることがあれば、こうした日本の桜の歴史に思いを馳せながら一献というのも粋ですね。

春の神様いらっしゃいませ!桜の語源を解説

昔から稲作が盛んだった日本。田植えの時期には豊作を願い各地で様々な風習が生まれました。田んぼにいると考えられていた神様の名を「サ」。そして神様の居場所を意味する御座を「クラ」。まだ桜が、桜と呼ばれてない頃、田の神様をその樹の下で持て成し、豊作を祈願したことから「サ」の「クラ」。「サクラ」と呼ばれるようになったと言われています。