雨は誰かの晴れになる!?雨で喜ぶ生き物たち

本格的な梅雨のシーズンが到来しました。梅雨と聞くと、天気もジメジメし、気分もなんだかスッキリしません。洗濯物が乾かなかったり、髪の毛がまとまらなかったりと、人間にはあまり歓迎されない季節。ですが、外に目を向けるといつもと違う景色が広がっています。

雨が降るからこそ見られる景色

例えば、クモの巣に光る雨のしずく、水たまりに広がる波紋、雨が降るときの匂い、雨上がりの澄んだ空気。中には、雨の音を聞きながら温かい飲み物を飲む瞬間にいつもと違う身体感覚を味わう人もいるのではないでしょうか。実は、こんなしっとりした季節を大喜びで迎える生き物たちも、私たちの身の回りにはたくさんいるのです。

雨をめいっぱい楽しむ生き物たち

晴れた日に見かけるアリやダンゴムシたちは、雨の日になると姿を隠してしまいます。その代わり登場するのがカエルやカタツムリ、ナメクジといった生き物たち。茂みや、木の根元をよく見ると集まっていることに気が付くでしょう。これらの生き物はなぜ雨の時に活発になるのでしょうか。

皮膚から出る粘膜の意外な役割

これらの生き物に共通するのが、体がヌルっと湿っていること。実はこのヌルヌルにはいくつか理由があります。今回はその理由を大きく2つご紹介します。
まず1つ目。カエルやミミズなどについて、これらの生物は皮膚で呼吸をしています。呼吸全般に関してですが、体内に酸素を取り込むためには一度、気体を体液に溶かす必要があります。皮膚呼吸でもこの仕組みは同様です。皮膚が濡れているからこそ、酸素を溶かし体内に取り込むことが可能なのです。つまり乾燥してしまうと息ができなくなってしまうため、カエルやミミズは皮膚から粘り気のある体液を常に出して体を濡らしています。
2つ目は、体内の水分を守るためです。カタツムリやナメクジの体は、通った跡が分かるほどヌルヌル、ネバネバとした粘液で覆われています。実はこれらの生物は陸貝といわれ、陸上に進出した貝類。そのため乾燥は大敵です。何もしなければ水分は空気中に蒸発したり、乾燥した地上に浸透してしまいます。そのため粘液を出し、水分が蒸発しないように守っているのです。だからこそ、カタツムリやナメクジは、湿った環境が大好き。普段は葉っぱの下などで過ごしていても、雨が降ると運動が活発になり、見えるところに出てきます。こんな生き物たちにとっては雨の日こそ、ピクニック日和なのかもしれませんね。

不思議な生体を発見しよう!雨が大好きな生き物たち

カエル

実は、カエルは口から水を飲みません。では、どこから飲むのでしょうか?それは皮膚からです。そのため湿った場所の上にいるだけで水分を摂ることができるのです。

カタツムリ

よくアジサイと一緒に描かれるカタツムリですが、アジサイが苦手。その理由は葉に毒があるためです。むしろ、殻の成長に必要なカルシウムを得られるコンクリートの方を好みます。

ミミズ

ミミズには、包帯を巻いたような模様がありますが、模様の濃さで大人か子供か見分けられます。模様が発達しているのが大人で、大きくても模様がハッキリ見えないのは子供なのです。

ナメクジ

ナメクジは一匹の体の中にオスとメス、両方の仕組みがあります。一匹では子孫を残せませんが、二匹いると両方とも産卵することができます。ナメクジはみんなお母さんになれるのです。

タニシ

なんだか地味な生物かと思いきや、実はとっても食いしん坊。苔や生物の死骸をモリモリ食べます。また、食料やプランクトンをエラでこす時に水をろ過し、水質も改善してくれます。

ホタル

キラキラと光るホタル。6月末から光り始め河原ではキレイな光景を見られます。多くの生物が光で獲物をおびき寄せたり威嚇する中、ホタルはオスとメスが出会うために光ります。

なぜ「つゆ」は梅の雨と書くの?

多くの方が「梅雨」を「つゆ」と読むと思いますが、実は知らなければ読めない漢字の1つではないでしょうか。この「梅雨」という漢字の語源は中国にあります。中国にもシトシトと雨の降る時期があり、当初はカビを表す「黴」という字が使われ「黴雨(バイウ)」とされていました。ただ、語感が良くない事や梅の実が熟す頃が雨期にあたる事から、後に梅の字が採用されました。その漢字が日本に渡り、「露(つゆ)」から派生し「梅雨(つゆ)」と読むようになったんだとか。ちなみに中国では現在も「梅雨(メイユー)」と呼ぶのだそうです。