えがおぶらり旅|金沢編

今回のえがおぶらり旅は石川県。北陸地方に位置し、南西から北東に向かって細長い形をしていますが、そのちょうど中央あたり、北陸屈指の繁華街があり、「兼六園」や「21世紀美術館」など有名観光スポットも多くあるのが金沢市です。

金沢と金箔の歴史

金沢といえば「金箔」を思い浮かべる方が多いですよね。実はそのイメージ通り、日本の金箔生産量のなんと98%以上を金沢が占めているんだそうです。なぜ金沢が金箔の産地として発展してきたのでしょうか?

その理由のひとつに、この地で育まれてきた忍耐強い職人気質と技術が挙げられます。日本で最初の金箔がいつ頃作られたのかは、はっきりと解明されていませんが、古代から永遠・不変を象徴するものとして、寺院建築や仏像彫刻に使われてきました。日本の仏教文化の浸透とともに、中国伝来の製箔技術が日本独自のものとして定着してきたと考えられています。加賀(今の金沢)でも、武者揃えの槍などを飾るために、金箔の製造を命じられていましたが、江戸時代には幕府の政策により、江戸と京都以外での金箔の製造が禁止とされてしまいました。しかし加賀では、純度の悪い素材から密かに製造が続けられていたのです。そんな厳しい状況下で積み重ねてきた経験と工夫が、繊細な金箔作りに欠かせない、忍耐強い気質と高い製造技術を培っていったのではないかと言われています。
またもうひとつの理由に、金沢の湿度の高さがあります。石川県は日照率の低い日本海側特有の気候で、「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるほど雨の多い地域。年間を通して湿度が70%を下回ることが少なく、その湿度の高さは、静電気を起こしやすく乾燥を嫌う金箔の製造には最適なのです。

金沢では加賀友禅や金沢漆器、輪島塗など様々な伝統工芸が継承されていますが、今では金箔も、代表的な伝統工芸としての地位を確立するまでになりました。工芸品だけではなく、食品や化粧品などにも使われ、最近では建築やインテリアの表現力を広げる素材としても、需要が高まっているそうです。

金沢とおもてなし新名所

石川県へ観光に訪れた人たちの起点となる金沢駅。実はここにも、ぜひじっくり見て欲しい新名所があるのです。それが、2005年に完成した「もてなしドーム」と「鼓門(つづみもん)」です。
「もてなしドーム」は、傘をイメージした巨大なガラス張りのドーム。金沢は雨や雪が多いため、『駅を降りた人に傘を差し出すおもてなしの心』をコンセプトに誕生しました。また、「鼓門」は、金沢の伝統芸能である能楽に使われる「鼓」をイメージしたもの。『観光客を伝統芸能でお出迎えしたい』という気持ちからデザインが考えられました。らせん状に組み上げられた柱が美しく、ズッシリとした門構えは圧巻です。どちらも、金沢の人々のおもてなしの思いが込められたシンボルとなっています。

そんな金沢駅は、2011年に「世界で最も美しい駅14選」のひとつに選出されました。皆さまも金沢駅を訪れた際には、ぜひ立ち止まって写真に収めてみてはいかがでしょうか。