ねぎらおう!働き者の肝臓

新年を迎え、体調はいかがでしょう。暴飲暴食という言葉は、この時のために作られたのか?と、思えるほど、年末年始にイベントや会食が続いた方も多いのではないでしょうか。愉快な席には、美味しいお酒が付き物。ついつい飲みすぎてしまった…。と、思った以上に肝臓を働かせ過ぎてしまった人も多いかもしれません。今回は、年末年始にたくさん働いた肝臓をいたわっていきましょう。

肝臓の働き

肝臓には大きく分けて3つの働きがあります。1つ目は「代謝」。口から摂取した栄養素を体内で利用できるように加工し蓄えてくれます。2つ目は「解毒・分解」。アルコールや薬、老廃物を解毒し体を守ってくれます。そして3つ目が「胆汁の合成・分泌」です。食べ物を消化する際に必要な胆汁を作ってくれます。

重要な役割を担っている肝臓は再生力がとても強いうえに、働き者。少々肝臓を切り取られても自らの力で再生し、仮に病気で肝臓の85%が壊れたとしても働き続ける力があると言われています。

だからといって肝臓を酷使しすぎてはいけません。アルコールの飲み過ぎや食べ過ぎは、肝臓内に中性脂肪がたまる脂肪肝の原因になります。一部の脂肪肝では慢性的な炎症が起こって肝硬変に繋がってしまうこともあります。強い臓器だからこそ「沈黙の臓器」とも呼ばれ、症状に気が付かないこともしばしば。気付いた時には手遅れになってしまうこともあるため日頃からいたわりとねぎらいが必要です。

知っておこう!お酒による肝臓トラブル

お酒の飲み過ぎでまず問題になるのは中性脂肪が肝臓に蓄積する脂肪肝です。脂肪肝が慢性的に続いた状態でお酒を大量に摂取すると、肝細胞に炎症が広がり、アルコールを分解する際に生じる活性酸素などが細胞を破壊し、深刻な肝障害へと進んでしまうのです。

アルコール性脂肪肝

脂肪肝とは肝臓の細胞の30%以上に中性脂肪のしずくが溜まり、肝臓が全体的に肥大した状態をいいます。アルコールの過剰摂取、肥満症、糖尿病(糖質過剰摂取)が3大要因といわれています。

アルコール性肝線維症

脂肪肝を放置し慢性的に飲酒を続けると、広範囲で肝細胞に炎症が起こり線維化が生じた状態がアルコール性肝線維症です。この段階であっても禁酒をすれば健康な肝臓を取り戻すことが可能です。

肝硬変

炎症が続くと繊維組織(肝臓にかさぶたの様な物ができ、通常の機能が果たせない組織)がさらに増え、肝臓が硬くなります。進行すると黄疸などが発生し、本来の細胞の構造が破壊されてしまいます。

脂肪肝など初期の段階では、断酒や節酒とバランスのとれた食生活や運動療法で改善が可能です。普段からバランスの良い食生活を心がけ、定期的な健康診断も併せて受診して肝臓の状態を確認してみてください。

肝臓が気になった時に!肝臓をいたわる食材をご紹介

肝臓をいたわる食事は、とてもシンプル。規則正しい時間に、適度な量のバランスの取れた食事を、しっかり噛んで食べることです。それに加えて次の食材も意識して摂ってみるのもオススメです。

しじみ

しじみには、たんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。二日酔いにはしじみの味噌汁が良いと聞いたことがある方も多いでしょう。しじみには肝臓の働きを助けるオルニチンやタウリンが非常に豊富に含まれます。

にんにく

滋養強壮として有名なにんにくには、脂質と糖質の消化吸収を調節する働きがあります。また、にんにくにはアリシンという硫黄化合物が含まれており、肝臓に蓄積された毒素を体外に排出する働きがあります。

ごま

セサミンの持つ抗酸化力は、肝臓の活性酸素を取り除いて細胞が傷つくことを防ぎます。また肝臓のアルコール分解を助けてくれるので、お酒を飲む前にごまを少し食べておくと二日酔いや悪酔いの防止が期待できます。

みかん

冬といえば、「こたつでみかん」と言われるほど日本人に馴染み深い果物。みかんにはβクリプトキサンチンという抗酸化作用に非常に優れた成分が含まれており、アルコール性肝障害に効果的に働きかけます。