やっかいな夏の天敵について知ろう!8月20日は「蚊の日」

夏真っ盛り!命を燃やすように鳴き続けているセミの声を聞くと、子供の頃を思い出すもの。カブトムシやクワガタを友人たちと探しに行き、誰が一番大きい虫を捕まえられたか比べ合ったりもしました。そして、夏の虫と言えばやっかいなのが蚊です。そこで今回は蚊の生態などを特集します。

多くの人の命を救うきっかけとなった日

まさか蚊の日なんてものがあったなんて…調べていて驚きました。ただし、蚊を称える日ではありません。
人々を恐怖のどん底に叩き落とす病気『マラリア』は、蚊が運んでくるという話は有名。蚊の日は、1897年8月20日にイギリスの細菌学者であるロナルド・ロスが蚊の胃の中からマラリアの原虫を発見したことに由来します。ロナルド・ロスはこの成果が評価されて1902年にノーベル生理学・医学賞を受賞、さらに1911年にイギリスのナイトの称号を叙勲されました。この評価からも、マラリアが世界的にどれほど問題視されていたのかわかるでしょう。

他人事ではない…日本でも大流行した怖い病気『マラリア』

発熱・悪寒、全身の痛みを伴い、やがて呼吸器障害や腎不全を引き起こすマラリア。アフリカ大陸を中心に問題視されていますが、日本でも他人事ではありません。古くは「瘧(おこり)」と呼ばれた病気で、平清盛なども命を落としたとされています。また明治期の北海道開拓の時にもマラリアで多くの人が命を落とし、大正時代では年間22,000人以上の患者が報告されたという事実もあります。

蚊の主食は血液ではなかったなんて…

刺されるとかゆくなるだけでなく、怖い病気の危険性も運んでくる蚊ですが、実はベジタリアンだということはあまり知られていません。蚊が血を吸うのは4〜5日に一度程度だとされています。もともと蚊は、植物の蜜や樹液などを吸って生活しています。一度の吸血で、蚊にとって充分な量の栄養を摂取できればしばらくは血を吸いにきません。しかも血が必要なのはメスだけです。この理由は産卵。しっかり卵を産むためのたんぱく質を摂取するために血を求めて飛び続けています。というとなんだか一生懸命でそんなに悪いヤツじゃないのかも…と思ってしまいますが、刺されてかゆくなったり、耳元でプ〜ンと飛び続けられると、やっぱり迷惑なのは変わりませんね。

刺されやすい?刺されにくい?蚊を呼ぶ人の体質とは…?

大人数でいても、自分のところにばかり蚊が寄ってくる!という経験はありませんか?蚊に好かれる人とそうでない人の差はなんなのでしょうか。
まず、蚊が吸血対象を見つけるまでには大きく3つのステップに分けられます。1つ目が生物が吐き出す二酸化炭素。この濃度の差を検知するそう。なんとその範囲は無風状態で10m!そんなに遠くから二酸化炭素をたどって私たちを探し出しているのです。そして次にニオイです。生物は常に乳酸やメチルフェノール、オクタールなどの揮発成分が分泌されています。そして、これらの物質のニオイのバランスを嗅ぎ取って人間か否かを判断するそう。最後に体温です。吸血対象の数十cm以内に入ると、人の体温に反応し近づいていきます。しかし、明らかに体温より高い温度の場合は生物でないと判断し去っていくこともあります。この3つから言えることは、運動して汗をかいて体温が高まっている状態ほど蚊に狙われやすいということになります。特に肥満気味の人は注意するようにしましょう。
また科学的に完全に証明されているわけではありませんが、血液型がO型の人が統計的に刺されやすいという結果も出ています。

なぜ痛くない?医療でも応用されている蚊の針の秘密とは

蚊に刺された時「痛いっ」と思った人はいないはず。血液を吸い出すほど深く刺さっているのに、なぜ私たちに気付くことができないのでしょうか。その答えは蚊の針の構造にあります。まず蚊の針は1本ではなく6本。最初にノコギリ状の2本の針でサクサク皮膚を切り裂きます。次に別の針で血液凝固を防ぐ成分を注入。これがかゆみの元になります。そして血が漏れないようフタの役目をする2本針をさし、ストロー状の針で血をすすります。しかもこの6本の針をまとめても髪の毛1本分の太さしかありません。最近では、このメカニズムをマネた医療用の針も登場しています。