雪どけは、春の合図。お米づくりもはじまります

深く雪に閉ざされた安曇野も、春になると雪どけを迎えます。深く積もった北アルプスの雪は雪どけとともに山の地面に染み入り、湧き水に。このミネラルたっぷりの雪解け水こそ、安曇野の米作りを支える要となっています。北アルプスから流れ出るいく筋もの河川(高瀬川・梓川など)が安曇野に豊かな実りをもたらしてきました。

春は苗づくりの季節。まずは種まきから

お米づくりには、「苗半作」という言葉があります。お米づくりの半分は苗で決まるという意味ですが、春はまさに苗づくりの季節。お米の種を厳選し、まるで種のベッドのような育苗箱に種を撒いていきます。種の撒き方は「薄まき」が基本。種を薄くまんべんなく撒くことで、空気の通りが良くなり、太陽をしっかり届けることができます。その後はビニールハウスに移動し、育苗箱をハウス内に並べていきます。農家さんは蒸し風呂のようなハウス内で作業を行い、外に出て一息ついたころ、アルプスおろしの冷たい風が体をそっと冷やしてくれるそうです。
ただ、この頃の安曇野の風は少々やっかい。強風と土ぼこりで目が開けられない時も。強くあたたかい季節風がきた翌日に、強烈な風雪に見舞われるなど、安曇野は春と冬が行きつ戻りつとなります。

田んぼづくりも安曇野の風物詩

ハウスでの作業の一方、外では田んぼ周りの草を焼く「土手焼」が行われます。余計な虫がつかないようにする大切な作業です。主役となる田んぼでは、乾いた土を掘り起こし、細かく砕く作業「田おこし」も行われます。これらの作業をどの農家さんも同時期に行うため、あたり一面が煙まみれに。この煙が春を知らせるのろしになり、風物詩にもなっています。春から始まるお米づくり。表情豊かな大自然に寄り添いながら、1粒1粒に愛情が注がれていきます。実りの秋が楽しみになりますね。