人の暮らしを守り、命をいただく「ジビエ食」

人は、たくさんの動植物たちの住処を借りて、そして命をいただきながら文明を発達させてきました。そして今、ジビエへの取り組みが注目を集めているのです。

もともとは貴族の食べ物だったジビエ

ジビエとは、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味する言葉で、フランス語が語源となっています。ヨーロッパでは貴族の伝統料理としても発展してきた食文化の一つ。もともとは自分の領地で狩猟ができるような上流階級の口にしか入らない貴重な食べ物でした。こう聞くと、美味しい部分しか食べないのでは?と思ってしまうかもしれませんが、それは間違いです。動物の尊い命を奪う代わりに、お肉はもちろん内臓や骨、血液に至るまですべてを料理に使い、生命に感謝を捧げようという精神のもと、ジビエ料理は振る舞われていました。山野を駆け巡り、大空を舞った天然のお肉は、脂肪が少なく引き締まり栄養価も高いため、まさに大自然からの贈り物だと言えるでしょう。

鳥獣被害を減らすために日本でも狩猟が行われる

日本では、1月15日~2月15日までが野生動物の狩猟の解禁日となっています。狩猟は娯楽のためにされるのではありません。野生鳥獣が増えすぎてしまった結果、農林業や自然環境にとっても大きな問題となっていることから、行われています。以前はそのまま廃棄されることもあった野生動物の命ですが、ジビエが注目されるにつれて食べるという概念が浸透してきたのです。

絶対に生食してはいけないジビエ

高たんぱく低脂肪で栄養豊富なジビエですが、生食は絶対にしないよう気を付けましょう。加熱が不十分だとE型肝炎ウイルスに感染したり、寄生虫や腸管出血性大腸菌により食中毒を招いてしまう恐れもあります。また、ジビエを調理する時、生肉に触れたトングや菜箸、お皿などの調理器具は他の食べ物と併用しないようにしてください。

ジビエの認証制度が制定されました

ジビエ…食べてみたいけど安全なものなの?どこで獲れたものなの?と気になりませんか?そんな消費者の不安を解消するだけではなく、小売店や飲食店でも自信を持ってジビエを勧められるよう、平成30年5月に「国産ジビエ認証制度」が制定されました。処理加工施設が認証機関に申請し、書類審査や現地審査に通過したものだけが国産ジビエ認証を取得することができるのです。

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