健康を左右するのは血管の柔らかさだった!?

今回の「シニアの健康特集」は血管についてご紹介します。
若い頃はあまり気に留めていなかった血管が、年齢を重ねるにつれて病気や不調の根源となる場面が増えてきます。血管や血液の基本をお伝えするとともに、とっておきの対策方法もご紹介していますので、ぜひ今日から取り入れてみましょう。

命を守り、健康を支える「血液」

年齢を重ねると、健康な体の重要なカギを握るのが血管です。あの細い血管1本1本が私たちの健康を支えています。人間の血管の約99%にあたる毛細血管は、赤血球1個がやっと通れるくらいの極細血管。1人分の血管をすべて繋げると、長さはなんと約10万kmにもなります。

これは地球2周半分にもなり、そこを血液が絶えず流れているのです。血液は酸素や栄養を全身に届け、不要になった二酸化炭素や老廃物を排出する役割を担っています。ウイルスや外部からやってきた悪者を退治してくれる免疫細胞を行き渡らせるのも血液の働きです。さらには大きな病気のもととなる血栓を溶かしてくれる仕組みもあることが分かっています。血液はまさに私たちの命を守り、あらゆる病気を防ぐ強いパワーを秘めています。

「健康診断の結果が良くない…」「長く元気でいたい…」「若々しくありたい…」そんな方は血管というライフラインの健康を見直してみましょう。

よく聞く「血栓」とはいったい何者?

大きな病気や不調の際に度々耳にすることもある「血栓」。知ってはいるけれども、単に悪者としての認識しかない方も多いようです。

血栓とは、血管内にできる血の固まりです。現在、この血栓によってカラダのトラブルがあらわれる方は、国内で年間10万人とも言われています。健康を脅かす血栓ですが、実は日常的に作られており、ほとんどの場合は体に対し有益に働きます。その代表格が、血管内の傷を塞ぐこと。血栓により、日夜働く血管の修繕作業が行われています。しかし、不健康な生活習慣やストレスにより、作られ過ぎた血栓がきちんと溶けなくなり、血管に残ると問題となってしまうのです。健康な血管には、「必要な血栓を作り、不要な血栓を溶かす」作用が整っています。

血管が硬くなると不調の原因に

全身に張り巡らされ、健康や寿命のキーマンとなる血管。ところが、年齢を重ねると血管にまつわる不調や症状が多くなっていきます。毛細血管は年々減少していき、60~70代では20代に比べて4割程度少なくなってしまうことも。

また加齢をはじめとする様々な要因によって、血管は柔軟性を失い、内壁が硬く、厚くなってしまい本来の健康的な働きが弱まってしまうのです。これが硬化と言われる状態。硬化が進めば、血管内に脂肪がたまりやすくなります。

するとある時、その脂肪が突然破裂して血栓ができ、それが血管を塞ぐと別の症状が発生することもあります。年齢を重ねると血管による不調が2重、3重と起こりやすくなるのです。

困ったことに、血管はどんなに硬くなっても、外からうかがい知ることはできません。症状が出て初めて硬化の進行がわかることもあります。血管が「物言わぬ臓器」と呼ばれているのは、そのためです。知らないうちに硬く、厚く、狭くなっていきます。血管は加齢の他にも、生活習慣と密接にかかわっています。下にある「血管の健康チェックリスト」で血管に問題はないか目安として確認してみましょう。

毎日の生活から、血管をいたわりましょう

血管の硬さは外からではわからず、進行具合も普通に生活している中では、見当もつかないことでしょう。ただし、たとえ血管が多少硬くなってしまっても、そこまで悲観的になる必要はありません。いくら新品のお茶椀でも、雑に扱えば割れてしまいますし、親のおさがりのような年季の入ったお茶椀も、丁寧に扱えば長く使い続けられるものです。つまり、硬くなった血管も毎日の生活から丁寧にいたわってあげれば、大ごとになる可能性はグッと減ってきます。

血管をいたわるポイントは、血圧・血糖対策です。塩分や糖分を控える食生活が良いでしょう。定食などは野菜⇒魚・肉⇒ごはんの順に食べるようにすると、血糖値の上昇を抑えてくれます。また血液がサラサラになる成分を多く含む食材もおすすめです。例えば、にんにくに含まれるアリシンは優れたパワーを持ち、サラサラに役立ちます。玉ねぎや青魚もサラサラ成分を持つ食材として、広く知られた食べ物です。これらは一般的な血管のいたわり方ではありますが、大前提としてとても大切な生活習慣です。

【季節の血管コラム】血圧を上げる夏の危ない習慣とは!?

血行を滞らせて、血圧を上げてしまうことは加齢のせいだけではありません。ふだんは血圧が正常な方でも、毎日の行動や季節によって変動してしまいます。一般的に夏は血圧が低く、冬は高くなりやすいとされていましたが、近年では夏でも血圧による不調が多いことに注目が集まり、夏の血圧コントロールが重要視されるようになりました。夏場で気をつけたいのが、急激な温度変化。外の猛烈な暑さから、冷房でキンと冷えた部屋に急に入ると、血管が収縮してしまうことも。前日に比べて5℃以上高い日は、温度の落差が大きくなりますので注意しましょう。

また、発汗により体内の水分が不足し、血液の流れが悪くなったり、血管がつまりやすくなったりもします。さらに暑い夏は、ビールなどアルコールを摂取しがちになり、血管には良くありません。夏場は熱中症なのか、血圧による不調なのか判断がつかないことがあります。ちょっとでも違和感がある時は、少し休んだり、水分を多く摂ったり、早めに病院に行くなどの対策をとりましょう。