春の訪れを告げる。安曇野の雪形

皆さまは『雪形』という言葉をご存知でしょうか。春になると山々の雪が解け始め、山の地肌と黒い岩肌、白い雪が織り成す山腹に現れる模様のことです。日本各地で見られるそうですが、今回は長野県北アルプスの雪形をご紹介します。

農作業のサイン!?

山国の人々は長い経験の中から、『雪形』を農作業を始めるサインとして代々受け継いできました。農業技術が未熟な時代には、天候で大きく収穫が左右されていたため、里よりも気候が安定している山の上の気候を目安に、農作業の準備などをしていたそうです。その1つの目安となるのが『雪形』なのです。

山の名前の由来に?

『雪形』の形が山の名前の由来になった物もあります。代表的なものを4つご紹介いたしますと、まず常念岳に現れる常念坊と万能鍬。そして蝶ヶ岳に現れる蝶の雪形、白馬岳に現れる代掻き馬です。

常念岳の常念坊。袈裟を着たお坊さんが徳利をさげているような形です。

常念岳の万能鍬。前常念岳の東面に現れ、春農作業の始まりを告げる万能鍬です。

蝶ヶ岳の蝶。羽を大きく広げた蝶が、くっきりと浮かぶと里は初夏を迎えます。

白馬岳の代掻き馬。山頂の横に、苗代づくりの季節に現れる代馬(しろうま)です。