漢方理論を活用して、冷えに負けない冬を過ごそう!

低い体温や冷えは健康にとって大敵。寒さに負けない体づくりには正しい体温を保つための対策が必要です。とは言っても特別なことは必要ありません。普段の生活にワンポイントプラスして身を守りましょう。

【ポイント①まずは食生活を考える】陽性・陰性の食材を見分けよう

日本人が古くから親しんできた漢方は、一つひとつの食材・素材ごとの特性が定められています。その中で、体を温めるものを『陽性』、冷やすものを『陰性』と区別しています。例えば夕飯のメニューを考える時、食材の特性を知っていればより冬に適した料理を作ることができます。そこで早速、簡単な『陽性』『陰性』の見分け方をご紹介しましょう。
実はとっても簡単で一般的なイメージと変わりません。例えば雪。見た目からして白くて冷たいという印象を持ちます。食材もこれと一緒で、白・青・緑といった寒色系の食べ物は体を冷やすので『陰性』です。逆に、赤やオレンジなどの暖色系の食べ物は体を温める作用があると考えられており『陽性』に分類されます。また、色で言えば黒も『陽性』です。
そして、次に重要なのが産地です。生き物は全てその土地に合わせて進化してきました。そのため南国の熱い地方の食材は体を冷やすものが多く、寒い北の地で採れるものは温めるものが多いと言われています。
下に『陽性』『陰性』の代表的な食材をまとめましたので、ぜひこれからの寒い季節の料理に役立ててください。

体を温める『陽』性食品

固いもの

水分や油分が少ない食材です。ごぼうやかぶなど、土の中で育つものがこれにあたり、またチーズや漬物なども含まれます。

寒い土地で採れるもの

リンゴやさくらんぼなど北方産の果物は、寒さへの抵抗力が強く、これらの力を摂取することで体を温めると考えられています。

黒っぽいもの

黒豆や黒砂糖、黒ごま、醬油など黒い食材は『陽性』食材の代表的な例。ひじきなどの海藻もオススメです。

暖色系のもの

火や温かさを連想させる食材。赤身の肉や鮭、明太子なども含まれます。

体を冷やす『陰』性食材

南方産・寒色系・柔らかいもの

暖かい土地で育った作物や水分・油分の多い食べ物をはじめ、食品添加物なども体を冷やします。

【ポイント②体温+4℃がオススメ】体温を維持する入浴方法

冷えた体を温めるのには、入浴が最も効果的。シャワーを浴びるだけでは芯からポカポカしないので、しっかりと湯船に浸かるようにしましょう。
入浴すると温熱による血管拡張効果で血行がスムーズになり、代謝がアップ。さらに汗をかくことで老廃物の排出も促進します。しかし、熱すぎるお湯は逆効果。ゆっくりと長めに浸かれるよう湯の温度は体温のプラス4℃程に留めましょう。どうしても入浴が難しい時は、手湯や足湯などで末端を温めることも効果的です。また、いつものお湯にひと手間かけて、薬湯にするのもオススメです。一つの食材をプラスしてさらにお風呂の健康効果を促進させてください。

生姜

生姜1個をすりおろし、布袋などに入れて湯船に浮かべます。風邪予防、不眠などにも効果的です。

大根

大根の葉5~6枚を天日で約1週間乾燥させ、その煮出し汁を湯船に入れます。血行を促進させ、女性ならではの悩みにも効果大。

ゆず

王道のゆず湯。1個を半分に切って、そのまま湯船に浮かべます。ひびわれ、あかぎれなどで悩む方にオススメです。

にんにく

ニオイの関係で、ちょっと勇気が必要かもしれません。にんにくひとかけを刻み、布袋などに入れて湯の中へ。毎日の疲れを吹き飛ばしてくれます。

【ポイント③衣類に1つプラスして】冷たい外気から身を守ろう

寒いからと言って何枚も着込んでは着ぶくれも気になってしまいます。また室内に入った時、暑すぎるという問題も。だからこそピンポイントな暖かアイテムを活用しましょう。
まずは腹巻。と聞くと、女性は抵抗がある方もいるかもしれませんが、実はとてもオシャレなものが販売されていることをご存知でしょうか。今風の言い方をするとウエストウォーマーとも呼ばれています。言い方一つで、気軽に装着できますね。
マフラーやストールなどの定番アイテムは、実は首を温める以外に重要な効果があります。首や脇の下などには熱産生が活発な褐色脂肪細胞があり、この部分を温めることでさらにポカポカを実感することができます。
最後にマスク。感染症予防だけではなく、体の中に冷えた空気が入るのをシャットダウン。ただマスクをするだけで、衣類1枚分ほどの温熱効果が期待できると言われています。

芯からポカポカ生姜紅茶

温かい紅茶に、新鮮な生姜をすりおろしたものを入れるだけ。好みで黒砂糖を加えます。生姜の量は紅茶1杯に親指大くらいが目安ですが、おいしいと感じる量に増やしても減らしてもOK。生姜だけでなく紅茶も黒砂糖も身体を温める陽性食品なので、温め効果は期待大。1日2~4杯を目安に飲みましょう。

冷え対策といえば、まず思い浮かぶのが生姜。発汗・発熱・殺菌作用など様々な働きがあると言われている万能食材です。これはジンゲロールやショウガオールという成分によるもの。血流を促して代謝を高める働きがあります。葛根湯などの漢方の約70%に生姜が配合されているとされており、昔から生姜の持つ健康力への期待の高さが伺えます。14世紀に英国でペストが流行した時も生姜を食べた人が生き残ったという逸話もあります。