私たちと共存共栄!!乳酸菌

私たち人間の腸内にはたくさんの菌が住んでいるというのは有名な話。では一体、何種類で何個に及ぶのかご存知でしょうか?一説には、1000種100兆個とも言われています。まさに共存共栄の関係。しかし、良い菌もいれば悪さを働く菌がいるのも事実。そこで今回は有名な「乳酸菌」についてを特集します。

世紀の大発見「乳酸菌」

チーズにヨーグルト、キムチなどなど、発酵食品を作るのに欠かせない乳酸菌。古くからこれらの食品は人々に愛されてきましたが、乳酸菌を実際に観測できたのは西暦1700年頃だと言われています。微生物を研究していたオランダのレーウェンフックという人物は、自分で顕微鏡を作り、野菜や乳の中に存在している乳酸菌を発見したそうです。
しかし、本格的に乳酸菌の研究が始まったのは、その100年以上後のこと。近代細菌学の祖と呼ばれているフランスの科学者パスツールは、発酵と腐敗は微生物によるものだということを明らかにしたのです。さらに母乳を飲んでいる乳幼児の便からビフィズス菌を発見するなど、偉業を成し遂げています。その後、ドイツのコッホという学者によって、乳酸菌の効率的な培養方法が確立されます。こうして徐々に、乳酸菌の有用性が解明されていったのです。
ただ、一言で乳酸菌と言ってもその種類は様々。もともと乳酸菌とは、ブドウ糖や乳糖などの糖類を分解して乳酸を作り出す菌の総称。顕微鏡で覗き込むと、いろいろな姿をしている乳酸菌を見ることができます。まず球型の菌を「乳酸球菌」と呼びます。そして、棒状だったり円筒状の菌が「乳酸桿菌」。では、有名なビフィズス菌はというと…広義では乳酸菌に含められますが、実際にはちょっと違っています。まず、乳酸の他に酢酸も作り出すという特徴を持っています。次に、一般的な乳酸菌は酸素があってもなくても生きていくことができますが、ビフィズス菌は酸素がある場所では死んでしまいます。また、ビフィズス菌はアルファベットのY状やV状をしているのも特徴です。ビフィズスとは、ラテン語のビフィッドからきた言葉で、枝分かれという意味になります。

お腹の中に花畑?腸内フローラと乳酸菌

1000種100兆個ともいわれる腸内細菌。これら多種多様な細菌たちは、バラバラに住んでいるのではなく集団を作りながら生息しています。それはまるで花畑のよう。そのため、腸内細菌の分布を表す「腸内フローラ」や「腸内細菌叢(そう)」という言葉が生まれました。腸内フローラは、体調や食生活によって大きく変化します。乳酸菌群が活躍できるよう、日々の生活を見直したいものですね。

およそ一万年前から役立てられてきた発酵乳

乳酸菌と言えば、ヨーグルトやチーズなど乳を発酵させた食品がまず思い浮かぶはず。では、これらの発酵乳は一体いつから人々に食されてきたのでしょうか。その答えは…なんと紀元前8000年頃から。メソポタミア文明が発展していたことから、牛や羊が飼育され、保存食として発酵乳が作り出されていたと言われています。
こんなにも長い発酵乳の歴史ですが、日本に伝わったのは西暦500年頃。仏教の伝来とともにでした。百済国から牛と一緒に搾乳技術が伝えられ、その後に現在のヨーグルトの原型となるものが作られ始めたそうです。

乳酸菌の代表と言えばヨーグルト!

発酵乳と言えば、その代表はヨーグルト。と言っても、その種類は実に様々です。

  • ハードヨーグルト
    乳等を発酵させ、寒天やゼラチンを混ぜて固めたもの。
  • ソフトヨーグルト
    乳等を発酵させて、糊状に撹拌させたもの。
  • ドリンクヨーグルト
    発酵させたものを液状になるまで撹拌させたもの。
  • フローズンヨーグルト
    発酵させて、アイスクリームと同じように凍結させたもの。

キレイな腸内フローラを保つために。「○○バイオティクス」食品を利用しよう

近年、人々の健康意識が高まるにつれて発酵食品や乳酸菌の働きもさらに注目されるようになってきました。その中で、プロバイオティクスという言葉を聞いたことはありませんか?人にとって役立つ微生物を生きたまま取り入れることで、キレイな腸内フローラを維持しようという意味が込められています。

  • プロバイオティクス
    人にとって有益な働きが期待できるビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌を「生きたまま」摂取することを目的とした言葉です。
  • プレバイオティクス
    腸内に住む健康維持に役立つ菌を応援するために、エサとなるものを摂取しようという意味。オリゴ糖や殺菌性乳酸菌などが該当します。
  • シンバイオティクス
    プロバイオティクスとプレバイオティクス、両方同時に実行しようという意味。例えば、ビフィズス菌とオリゴ糖を一緒に摂取することが当てはまります。