「思い出す力」を高めて、物忘れ知らずに!!

「何をしようとしたか忘れる…」「人の名前が出てこない…」日々の暮らしの中で経験する物忘れ。「このくらいは覚えているはず」と思っていたのに、それが出てこないと不安になるものです。でも、あきらめないでください。確かに年齢を重ねることは物忘れの一因になりますが、その特性を知ると、予防ができることもわかっています。今回は物忘れに1歩ずつアプローチしていく、とっておきの方法をご紹介します。

記憶力は2種類にわけて考えましょう

皆さんは年齢を重ねると記憶力はどうなると思いますか?「記憶力が落ちるのは当たり前」と思っている方も多いのではないでしょうか。

それは半分正解で半分は間違いです。記憶力とは2つの要素からなっており、それぞれ「覚える力」と「思い出す力」に分けられます。実は覚える力はある研究によると20代と60代ではあまり変わらないことがわかりました。

つまり、高齢の方も若い方も大差なく、新しいことを覚えることができます。一方で、思い出す力は残念ながら加齢とともに低下します。「何をしようとしたか忘れる…」「人の名前が出てこない…」などの経験は、思い出す力が衰えている証拠です。

ですが、ヒントやキッカケがあれば「あ!そうだった」となる場合が多いのではありませんか。これは覚える力はあるのに、思い出す力が弱まっている典型的なパターンであり、鍛えるべきはこの思い出す力にあったのです。

物忘れは自然の老化現象として受け入れましょう

先程も述べたように、覚える力はあまり衰えることはありません。「物忘れ」はある情報を覚えられないのではなく、頭に入った情報を上手く引き出せない状態です。しかし、これらの状況はいわば自然な老化現象であり、人は40代を過ぎると物忘れを自覚するようになると言われています。

「うっかり印鑑をどこに置いたか忘れた」という「なんだっけ物忘れ」も、「電話に出たらやかんの火を消すのを忘れた」という「抜け落ち物忘れ」も加齢による一般的な物忘れの範囲です。単に脳の情報整理力が衰え、注意力が一方だけに向かいやすくなっている状態と解釈することもできます。逆に言えば、脳の思い出す力を司る場所をトレーニングしてあげれば、物忘れを減らせることもわかってきているのです。

【物忘れ対策】言葉でなく映像で覚えてみましょう

思い出す力を高めるトレーニングがあります。それこそが、「記憶すべきことを映像でイメージする」ことです。これは2007年にアメリカの研究者によって発表された方法になります。「やかんの火を消す」を例にとれば、自分がガスコンロの前に立ち、つまみをひねる姿まで想像して覚えればOK。単に言葉だけで覚えるよりも、脳の思い出す力を司る場所が活性化されて、スムーズに思い出しやすくなります。

まず、10日間はトレーニングの一貫として朝起きたら1日の予定をメモにまとめましょう。次にそれぞれの行動を一つひとつ実際に行っている様子でイメージしていきます。「買い物ついでに散歩する」「食後に甘いものを食べる」など細部にわたりイメージすることがポイントです。最後は実際の行動の前に手順をより具体的にイメージしてみましょう。

例えば「食後に甘いものを食べる」なら、単にケーキを食べることをイメージするのではなく、冷蔵庫にケーキが置いてあるところや、ケーキを手に取りお皿に盛り付けている自分、フォークを差し込む姿といったような一連の行動をイメージするのです。さっそく今日から取り入れてみましょう。