邪気を払って健康を考える|“重陽”菊の節句

3月3日は「ひな祭り」で桃の節句。5月5日は「こどもの日」で端午の節句。7月7日は「七夕」で星祭り。では、9月9日は何の日かというと「重陽(ちょうよう)」で菊の節句にあたります。

陰陽思想から生まれた陽の気が高まる節句

陰陽思想で奇数は陽の数であり、最大数である9が重なるため「重陽」と呼ばれるようになりました。もともとは陽の気が強すぎるため不吉と考えられていましたが、後に陽の重なりによって吉とする考えに変わり、祝い事となったそうです。

邪気を払って長寿を願うために、旬の花である菊を飾ったり、菊の花びらを浮かべたお酒を飲み交わすなどの習わしがあり、また菊についた露を綿に染み込ませ体を拭くという習慣もあったそう。

もともとは中国から入ってきた文化でしたが、平安時代では重陽には菊花酒を嗜んだり、江戸時代の俳諧師の代表でもある松尾芭蕉も重陽に関する句を詠んでいます。

捨てずに食べてほしい菊の華の添え物

実は菊には、本当に長寿のために大切な栄養成分が含まれていることをご存知でしょうか。お刺身などの添え物としてよく見ますが、そのまま捨ててしまうのはもったいないほど体に嬉しい働きがあることがわかっています。

菊花に含まれる特筆すべき栄養素

  • ビタミンB1

読書の秋…この時期は本を読む人も多いことでしょう。菊花に含まれるビタミンB1は目の神経をサポートする働きがあり、疲れ目などに役立つ成分です。

  • ビタミンE

老化や体の抵抗力の低下などの原因となる活性酸素を抑制してくれるビタミンEもたっぷり含まれています。若々しさの維持にぜひ取り入れましょう。

  • ポリフェノール

ルテオリンというポリフェノールが含まれた菊花。活性酸素による悪影響や光老化を抑えてくれる働きを持ち、さらに女性ホルモン様作用があることも確認されています。菊の花のように輝く毎日に導いてくれる特筆成分です。

菊だけじゃない!秋の味覚に含まれる貴重な栄養

長寿を願う重陽に菊の花…もいいですが、秋には他にも健康に良いとされる味覚がたくさんあります。そこで、この季節ならではの果物に含まれる栄養成分を特集します。

  • いちじく

不老長寿の果物とされ、江戸時代から注目されていたいちじく。食物繊維や鉄分、カリウム、カルシウム、ポリフェノール、カロテンなどがたっぷりと含まれています。

  • ぶどう

残暑の疲れを回復させるために、効率的に糖分を補給することができます。また、ポリフェノールの一種であるアントシアニンやレスベラトロールで若々しさを維持できます。

独特な清涼感はソルビトールという糖アルコールによるもの。喉がイガイガしたり、熱っぽい時の強い味方になってくれます。さらにタンパク質の分解を助ける酵素も含まれています。

  • ザクロ

スーパーフードとも呼ばれるフルーツ。各種ビタミンやエラグ酸、オレイン酸などまで、幅広い種類の栄養分がたっぷり。さらに女性に嬉しい植物エストロゲンも含有します。

  • りんご

りんごの栄養素のポイントは、特筆成分よりもバランス。カリウムや食物繊維、ビタミンC、ポリフェノールなど若々しさに求められる成分を満遍なく摂取することができます。

腸の動きを助け、善玉菌を増やしてくれるペクチンという成分が含まれています。またナトリウムの排出を促すカリウムも豊富なため、むくみ気味の人にはオススメの果物です。

「柿が色づくと医者が青くなる」と言われほど栄養価の高い果物。ビタミンCをはじめ、カロテンやタンニンなどの栄養素が含まれており、体内のめぐりをスムーズにしてくれます。

  • あけび

美肌の強い味方あけびには、コラーゲン生成を助ける働きがあるとともに、夏の紫外線で増えてしまったシミの原因メラニンを抑える力もあることが期待されています。

ナッツの一種である栗に含まれるビタミンCは他とは違う「熱に強い」という優れた点があります。このため、茹でたり栗ご飯にしても、しっかりとその働きを維持することができます。