日本では古くから月を神聖視する風習がありました。縄文時代から月を愛でる文化があったことが分かっています。十五夜の月見が盛んになったのは平安時代から。中国から伝わり、貴族の間で広まっていったのです。月を見ながらお酒を飲み交わし、船の上で詩歌や管弦を楽しみ、秋の収穫に感謝する催しだったそう。今と違うのは、空に浮かぶ月ではなく、水面や盃に映った月を見ることが主流でした。
十五夜のお供え物の理由をご紹介

十五夜といえばススキや月見団子が定番です。このひとつひとつの理由はご存知でしょうか。まずススキは、秋の七草の1つに数えられます。白い尾花が稲穂に似ており、魔除けにもなるという理由から供えられるようになりました。そして、美味しいお団子は月に見立てたもの。農作物が収穫できることへの感謝を示したものです。もちろんお団子の数は十五夜なので15個。ピラミッドのように積んで供えます。この一番上のお団子は霊界への架け橋になると考えられていました。また、ススキやお団子と一緒に秋の作物も供えます。中でも里芋は定番となっており、十五夜の月は「芋名月」という呼び名もあるほど。
そして十五夜ならではの変わった風習といえば「お月見泥棒」ではないでしょうか。これは「月見の時だけは、お供え物を勝手にとってよい」というもの。例えば、長崎県の一部では「まんだかな」といい、子供がお供え物を自由に食べてもよいということになっています。また、秋田県では「片足御免」といい、他人の家に片足を踏み込んでお供え物をとるという文化が一部では残っているようです。どちらも「盗まれた」ではなく「お月さまが食べた」と解釈され喜ばれます。
人の体には月がいくつも存在する!?
肩、骨、背、胸、脳、腰…などなど、人体を表す多くの感じの部首には「月」が付いています。これは「月」そのものと何か関係があるのでしょうか?実は…答えは否。「月」という漢字自体は、半月や三日月を模した形状になっていますが、部首の「月」は「肉」という漢字が簡略化されたもの。だからこそ「にくづき」と呼ぶようになったのです。
月が人体に及ぼす影響とは?

日本だけでなく世界各国で神秘の象徴とされてきた月。それ故に、人を狼に変えたり、心を惑わしたりなど様々な逸話が囁かれてきました。異常な事件の背景には満月の力が関わっていると言われることもあり、これまで多くの科学者が「月のエネルギーの真相」を突き止めようと研究に没頭してきたのです。
こんなデータも発表されています
アメリカコロラド州の獣医センターが1万件以上の診察を元に調査した結果、満月の夜に治療を受けるペットの数が約25%増えたという報告があります。また、イギリスでは満月の夜に動物に噛まれたという患者が2倍になったという例も。もしかすると満月の力は、人間よりも野生に近い動物に作用するのかもしれませんね。
広く伝えられている満月の作用って?
月と太陽の引力で起こるとされる塩の満ち引き。人体のおよそ70%が水分であるため、得に満月の晩にはその影響を大きく受けると考えられてきました。自律神経系の働きが変化し、下のような作用があると伝えられています。もしかすると思い当たることはありませんか?
- 足などがむくみやすくなる
- 栄養成分を吸収しやすくなる
- 事故が多発し、病院が混雑する
- なかなか集中できなくなる
- 頭痛を感じることがある
- 精神疾患が起きやすい
まだまだわからないことばかりですが…
「結論はこうです!」と断言することはできませんが、満月には人の心を打つ魅力があるのは間違いありません。今年の十五夜もぜひキレイな満月を楽しんでください。