「秋」「刀」という字を用いるようになったのは意外と最近のことなんです。サンマという名前の由来は「体が狭い魚」という意味の「狭真魚(さまな)」からきているそう。秋刀魚という漢字が当てられたのは大正10年、佐藤春夫の詩が初めてでした。江戸時代では魚へんに祭と書いて「サンマ」と読んだり、夏目漱石は書籍内で「三馬」と表記しています。
安くて美味しい秋の魚の代表格が…過去最高値まで高騰!?
北海道・東京の市場で異例の高値

食欲の秋…やはり秋刀魚は外せません。昨年は秋刀魚の当たり年。大きくて脂がのっており、大漁だったため、お手頃価格で楽しめました。しかし、今年は簡単に手が出せる魚ではなくなってしまうかもしれません。
まず東京の市場では、7月の初水揚げで170gほどのサイズの秋刀魚1尾、約12万円ほどの値が付きニュースになりました。さらに北海道の市場の初競りでは約19万円。どちらも過去最高価格まで高騰することに。庶民の味方だった秋刀魚が超高級魚になってしまったのです。
以前は1尾100円ほどで購入できましたが、価格は右肩上がり。反面、漁獲量は減ってきています。その理由は日本近海における海水温の上昇。これによって秋刀魚のエサとなるプランクトンが減り、日本の漁業域に来遊しなくなってしまうのです。
こうした地球の変化によって秋の風物詩が味わえなくなってしまうのは悲しいもの。旬を楽しみ続けるためにもこちらの記事で紹介している3Rを実践していきたいものですね。
秋刀魚の回遊ルート

秋刀魚の生息域は主に太平洋。日本の沖合からアメリカ沖まで幅広く分布しています。日本の漁船が漁獲する秋刀魚は北西太平洋群に属し、黒潮周辺の海で生まれ、成長とともに北上してきます。
鮮度を見抜く美味しい秋刀魚の選び方

焼いても煮付けても、皮から骨まで美味しくいただける秋刀魚。しかし、ウロコがほとんどなく内臓の消化酵素の働きが強いため、鮮度が落ちやすいのが難点。美味しい秋刀魚の選び方のPOINTは以下の通りです。
- 皮がピンと張り、背の青味が輝くように美しいもの
- 身が固く、持ち上げた時にへたらないもの
- 身がふっくりとして張りがあり肩が張っているように見えるもの
- 口の先と尾の付け根が黄色かオレンジ色
今では当たり前の秋の味覚食卓で楽しむようになったのは明治時代以降だとされています
この季節、スーパーの魚コーナーに行けば見ない日はないというほど一般的な秋刀魚ですが、実は普及したのは明治時代以降だとされています。それまでの江戸時代初期~中期にかけては脂の少ない淡泊な魚が好まれており、秋刀魚は食用ではなく行灯の油用でもありました。そんな中、いち早く秋刀魚の味の虜になった将軍がいました。徳川家光公です。鷹狩りの帰りに茶屋で食した秋刀魚が忘れられず、お城で所望したという逸話が残っています。
秋刀魚が出ると按摩が引っ込む。秋刀魚の脂は万能脂質

江戸時代後期、秋刀魚が少しずつ一般に広まっていった時に生まれた言葉が「秋刀魚が出ると按摩が引っ込む」です。これは秋に栄養のある秋刀魚を食べた人が増えた結果、按摩にかかる人が減ったという背景があることに起因します。それもそのはず、秋刀魚にはDHAやEPAという脂肪酸が含まれており、血液をサラサラにしてくれるのです。しかも悪玉コレステロールを減らし、記憶力の維持にも働きかけます。これを行灯用にしていたなんて…もったいない限りですね。
秋刀魚の雑学
ワタまで美味しく食べられる理由
秋刀魚には胃がなく、食べたものが30分ほどで消化され排泄物がほとんど溜まりません。そのため内臓まで美味しく食べられます。
実は川にいる小さな魚の仲間
秋刀魚とメダカは同じダツ目の仲間同士。下あごが突き出た口や水草に絡みつくような卵の特徴が共通点なんです。
水族館での飼育は難しい
秋刀魚は水槽の壁に激突したり、寿命も短く飼育が困難。福島県の水族館では世界で初めて秋刀魚の水槽内繁殖に成功しました。






